ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 13節

 

 

シャルルロワ 3-0 オイペン

2連勝と2連敗、対極的な状況にある、勝ち点20で並ぶ両チームの対戦。最初の15分は連敗を止めたいオイペンがペースを握ったが、徐々にシャルルロワがチャンスを増やすようになる。どちらのチームもあまり前からボールを奪いにいくことをしなかったが、森岡亮太ゾルガン、ゴリザデと推進力のある選手が揃い、シンプルかつ正確に前方にボールを送れるシャルルロワの方が能率的に前進することができ、前半はスコアレス、保持率もほぼ互角ながらシュート数では10vs1と大きな差が開いた。左右のHV、クネゼビッチとファンクレーンプトの持ち運びも効果的であった。

後半はプレヴリャクが抜け出して決定的なシュートを放つなどオイペンにもいいチャンスが生まれたが、残り15分を過ぎるまで両チームに得点なし。ようやく試合が動いたのは78分、シャルルロワは相手陣地左サイドでのスローインから、一度DFラインを経由してサイドチェンジ。右サイドからゼダッカPA内に侵入するとゴリザデへ絶妙なスルーパス。ゴリザデのシュートは防がれたがニコルソンが押し込んで先制に成功。5分後に、今度はニコルソンが左サイドで粘ってゴリザデに通すとゴリザデが1人かわしてシュートを放ちゴール。シャルルロワは4試合連続でニコルソン、ゴリザデのアベックゴールが生まれている。87分にはカウンターでファンクレーンプトが運び森岡に預けると、森岡がループパスでキーパーの前に”セット”し、走り込んだファンクレーンプトが決めて3-0。試合を決定づけた。

3連勝を果たしたシャルルロワは5位に浮上。森岡は3点目のアシストだけでなく、オーバーヘッドでのシュートやスルーパスなどでチャンスを演出し続けた。一方のオイペンは首位に立ってから3連敗。直近の2試合では、非保持で奪うタイミングやブロック形成の位置などあまり統制がとれてないように見える。

 

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シント・トロイデン 1-2 クルブ・ブルッヘ

最近は引き分けが先行するクルブ・ブルッヘは、バス・ドストを2節ユニオン戦以来の先発起用。今年1月、クルブでのデビュー戦もここスタイエンでのSTVV戦で、前半に先制点をゲットしたドストが、この日は開始40秒で起用に応えるゴール。今季リーグ戦では開幕節以来ゴールがないどころか、出場機会もほとんど得られなかった鬱憤を早速晴らした。1点を奪ったあとも、クルブはドストを中央に、この日はラングが右、デ・ケテラーレが左に入った3トップで簡単に相手の5バック釘付けにできるためSTVVのプレスを苦にせずボールを運べた。STVVは手も足も出ないかと思われたが、22分原大智が中盤に降りて引き出し、ターンして20mほど1人で運ぶとバランタに倒されファールを受ける。このFKからこの日はアンカーに入ったバウアーがボレーを決め、ほとんどチャンスを作れていなかった中で同点に追いつくことができた。

そのまま前半を耐え凌いだSTVVは、後半の最初こそ攻め立てたが、奪いきれず49分に勝ち越しゴールを許す。ソボルのクロスから、ドストがこの日2点目となるヘッダーを決め、これが決勝点となった。

STVVは、前節ルーヴェン戦、ミッドウィークのリーグカップ、スラン戦に続いて公式戦3連敗。格上が相手ではあったが、9月からのいい流れが一旦途絶えた。この試合ではコナテと、出場停止のライストナーが欠場。コナテはここまでチームの好調を牽引してきた存在だが、あまり不在の痛さは感じられなかった。原と林大地の日本人2トップは一旦解体され、原とブリュースが最前線に。原はインパクトのある結果を残しているとは言い難いが、同点に追いつくきっかけを作ったし、ボールを引き出すタイミングは確実に周囲と合い始めている。少し下がって受けようとすることが多すぎるように思うが、フルタイム出場が続いているので、その点は許容されている、あるいはチームオーダーとして求められている役割なのかもしれない。橋岡大樹は後半セットプレーから惜しいヘッドを2本放つなど見せ場を作った。

クルブは手堅く勝ち切り2位をキープ。前線のテコ入れとも取れる、久しぶりのドストの起用自体に特筆すべきものはなかったが、2ゴールと何より大事な数字を残したので今後は出場時間が増えるだろう。それ以上に、サイドに回ったデ・ケテラーレが普段より躍動していた。ノア・ラングが次節は累積警告で出場停止なので、スタンダール戦は前線の選手起用にも注目したい。

 

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ズルテ・ワレヘム 2-6 ヘンク

リーグ戦3連敗、ELでも2連敗と急に勝てなくなってしまったヘンクだが、この試合は4得点を演出した伊東純也の大活躍もあって6得点と気持ちよく勝てた。

ズルテ・ワレヘムの攻撃の中心は、左WBドンぺの突破力を活かしたサイドアタックだが、ヘンクはSB、WGに加え、トルストヴェット、ヘイネンのIHがフォローに入ることでサイドでの攻防を優位に進め、試合のペースを握った。先制点は12分。伊東が中央で一旦下がって引き出しはたくと、そこからスピードアップ。最後はムニョスの折り返しを自ら決めた。先述の通りズルテ・ワレヘムの攻撃の要はドンぺであり、そこに多くボールが集まるため、それを逆手にとってドンぺの空けたスペースで伊東がボールを受ける回数が多くなった。ドンぺの突破自体は、右SBムニョスがかなり止めていたので、ヘンクがそこから大穴を開けられるということもなかった。前半終了間際には、伊東が右サイドから中央にパスを送ると、トルストヴェットが綺麗なターンからゴールを奪い、2-0で前半を折り返す。

後半も開始早々に、伊東のクロスからオヌアチュがヘディングを決め、伊東は2アシスト目。さらに52分、ムニョスのスルーパスを受けた伊東がデ・ボックをかわしてクロスを送ると、最後はヘイネンが押し込み4点目。直後にもコーナーからルクミが決め、54分で0-5と大量のリードを得た。伊東は70分にもポストを直撃するシュートを放つなど、大量得点を奪ったヘンクの中でも大きな存在感。本人のインスタグラムによると、「最近は調子があがってhappy」で、毎年手袋をつけ始めると調子があがってくる説が浮上しているらしい。

ズルテ・ワレヘムは63分、ドンぺがようやく本領発揮。サイドを突破しクロスを上げるとフォッセンがダイレクトボレー。ドンぺはリーグトップの9アシスト目。フォッセンもリーグ3位タイの9ゴール目。さらにクテサもゴールを決めて3点差にしたが、ヘイネンにとどめを刺され万事休す。シャルルロワ戦後に伊東に苦言を呈したとされ、日本のサッカーファンの不興を買っってしまった感のあるヘイネンだが、キャプテンの意地を見せる2ゴールの活躍だった。

伊東の大活躍は日本のサッカーファンとして嬉しい限り。今季はチャンスを作っても数字に結びつかない印象があったが、久々のゴールを奪えたし、アシスト数も6に伸ばしてリーグ3位に並んだ。ヘンクについて個人的に嬉しいのは、お気に入り選手の1人であるフロショフスキーの活躍。今季は出番が少なく、チームがターンオーバーして臨んだSTVVとのダービーでは低調なパフォーマンス。スロバキア代表でも控えに甘んじることが多くなってきていて、今季は厳しいかと思っていたがここ数試合ヘンクでは先発が続きついに勝利に結びついた。ターンが上手く、パスは正確で、カットインしてきたウインガーへの寄せ方が秀逸な選手なのでぜひ注目してほしい。

ズルテ・ワレヘムは、ドンぺ、フォッセンを筆頭にガノ、シッサコ、プレティンクスなどかなりのタレントが揃っている印象があるが、今季はなかなか勝てない。特にWBに配置しているドンぺが諸刃の剣となってしまうような格上との対戦では、試合の中で守備の弱点をかくせるような柔軟さが必要だろう。

 

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ヘント 0-2 ユニオン・サン・ジロワーズ

オイペン、ヘンクを撃破し上位に追いついてきたヘント。ここで首位USGを食えばいよいよ今後のリーグ上位争いのメインキャスト候補に一躍名乗りをあげられるところだったが、一方的に試合を支配しながらもゴールが遠く完封負け。6-1で勝利したクルブ戦や、10人になるまでは完璧に支配していたアントワープ戦のように、ハイラインとハイプレスでボールをほとんど相手陣地から出さず、波状攻撃を続けた。最初の特に前半はUSGに2本しかシュートを打たせず、ポゼッションも70%を誇ったのだが、ンガドゥのヘディングシュートがバーに当たったり、オディジャ・オフォエがPKを失敗したりと決め切ることができなかった。後半は途中からキープ力に優れヘンク戦では独力でゼロからチャンスの起点になっていたベズスを投入したが、活かし切ることができなかった。

一方厳しい展開ながら試合巧者ぶりを発揮したのがUSG。最初の5分間はチャンスの可能性を一切感じなかったものの、カウンターから6分にウンダフ→ファンゼールのホットラインでゴールを奪って先制、前半終了間際にはテウマがPKを決めて加点した。オイペン戦に引き続きWBで先発出場した三笘薫は、高い位置でボールを受けて仕掛ける、という場面を得られなかったものの、長距離を単独で持ち運び陣地を回復できるドリブル能力が守勢に回りがちな試合展開の中で存分に活かされていた。40分のPKも、三笘がロングカウンターでボールを運び得たFKから、相手のハンドで得たPK。75分にソリノラが投入されると三笘はFWに移り、さらにその5分後に交代で退いたが、この2試合の三笘のプレーを見ていると、WBで起用されているのはその突破力を活かしたいというよりも、WBとしてのタスクをこなせるとマッズ監督に判断されているから。守備のタスクを軽減されているというようなことはなく、いい意味で「特別扱いされず」起用されているように思われる。守備面での課題は今後狙われることで新たに噴出する可能性もあるが、今後もWBとして継続的にいいパフォーマンスができればベルギーに来たことでプレーの幅を広げられるということになりそうだ。

 

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スタンダール・リエージュ 1-1 コルトレイク

苦しい戦いが続くスタンダールと、プレーオフ圏内に食らいつきたいコルトレイクのゲームは痛み分けに。スタンダールはこれで3試合連続のドローだが、その前に3連敗を喫しているのでトータル6試合勝ちがない。

 

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オーステンデ 2−4 メヘレン

メヘレンアンデルレヒト戦の大敗以来6試合で5勝1分と絶好調。得失点差もついにプラスへ転じ、勝ち点23でPO1圏内の4位に浮上した。10月はムラブティが好調で、4試合で4ゴール1アシスト。波の激しいオーステンデは痛い連敗。次節ルーヴェン戦はプレーオフ争いに残っていけるか分水嶺になる。ゴールを奪ったマクタル・ゲイェは今季9点目だ。

 

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ベールスホット 3-0 スラン

13試合目にして、最下位ベールスホットが待望の今季初勝利。22分にホルツハウザーがスランのキーパーからのパスをインターセプトしゴールを奪うとそのリードを終盤まで守り、残り10分となったところでヌビシが連続でゴールを奪い大勝した。敗れたスランは3連敗。

 

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セルクル・ブルッヘ 0-1 アントワープ

アントワープが苦しみながらも、PKでの1点を守り抜き3試合ぶりの勝利。決勝点のフライは今季13ゴール目。セルクル・ブルッヘは前節連敗こそ止めたものの6試合勝利なしとトンネルに入ってしまっている。

 

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アンデルレヒト 2-2 ルーヴェン

引き分けの多い両チームの対戦は、案の定ドロー決着。1人少ないアンデルレヒトが後半ATにジルクゼーの2点目で追いつき、その後アシメルがハンドで退場し、ルーヴェンにPK。しかしこれをカバが決められず、両チームの高い”引き分け力”を感じさせる試合となってしまった。アンデルレヒトはリーグ戦直近6試合のうち5試合引き分け。リーグ最多8つ目のドローとなったルーヴェンは直近5試合のうち4試合が引き分けである。

 

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ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 12節

ベルギーリーグの12節。ミッドウィークにヨーロッパのコンペティションがあったため、出場クラブのゲームは日曜日に集中。他国のリーグでも注目を集めるビッグマッチが同じ週末に数多く開催されたが、ベルギーでもアントワープvsクルブ・ブルッヘ、ヘンクvsヘントのゲームが組まれ、”スーパーサンデー”と銘打たれた。さらに土曜日には3位オイペンvs1位ユニオン・サン・ジロワーズの上位対決。この恩恵を受けたのは我々極東のベルギーリーグファン。DAZNでは久しぶりに4試合が配信された。前半戦も2/3を消化するタイミングで、多くのクラブにとってキーとなる節かもしれない。

 

 

オイペン 2-3 ユニオン・サン・ジロワーズ

上位に残り続けるオイペンとUSGの上位対決。USGはこれまでメンバー、戦い方を固定気味で、特にファンゼールとウンダフの2トップは絶対的。前節途中出場でハットトリックを達成した三笘薫を先発に組み込むとすれば、どう変えてくるのか気になるところであったが、左のWBで先発出場。もともと左のWBを務めるラプサンも不動の存在だが、この日は右のインサイドで出場。三笘は開始5分に、カウンターでそのラプサンからのパスを受けると、左サイドから突破しPKを獲得。早い時間での先制を演出した。三笘がWBで出場するとなると、気になるのは守備面。この試合ではオイペンが予想の5バックではなく4バックだったので、ファーにあればDFラインに入って絞り、ボールが近くにくれば、オイペンの実質右サイドバックとなったへリスを見る形でほぼ固定され、特にやりづらさはなさそうであった。左HVのファンデルヘイデンがよくフォローしていたという側面も多少はあるが、三笘自身もカウンターを止めたり、キープ力に優れるヌフの突破を止めるなど守備で随所に好プレーを見せ、穴となるようなことはなかった。攻撃での見せ場は、最初のPKゲットのシーン以降はあまり多くはなかったが、ハーフスペースで引き出し、運んでファンゼールに決定的なスルーパスを出したり、後半には高い位置で受け、カットインしてシュートなど一定の存在感は示した。不慣れなポジションなので当然仕方がないが、組み立てへの関与ではもう少し適応が必要かもしれない。ユニオンは27分頃にも、今度はハイプレスでのボール回収からテウマのゴールで加点。

ボールを握りつつもチャンスを作れなかったオイペンは、68分の交代で左サイドにケイタを入れてから、クロスの割合を増やす。数分後、右サイドからのクロスのこぼれ球を拾ったカイェンベが1人かわして5人に囲まれながらミドルを決めて1点を返す。エド・カイェンベは中盤の底でほとんど失うことなくボールをキープ、そして散らし続け、両チーム通じて最大の存在感を示していたが、さらにスーパーゴールでインパクトを残した。直後にセットプレーのあとの混戦からアグバドゥが押し込み、3分で2点差を追いついた。しかしその後のキックオフでの再開で、ユニオンは速攻からニールセンが勝ち越しゴール。目まぐるしくスコアが動いたが、オイペンの1点目のシーンでクリアをカイェンベに渡してしまう格好となったニールセンが名誉挽回の決勝ゴールを奪った。

翌日クルブが引き分けたため、ユニオンは完全に単独首位に。三笘のWB起用も成功。ラプサンインサイドハーフは少し負担が大きかったようだが、チーム全体のバランスも維持されていたので、この形は続けるのではないだろうか。オイペンは2連敗となり、ユニオンとの勝ち点差が5に広がってしまった。

 

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アントワープ 1-1 クルブ・ブルッヘ

”スーパーサンデー”最初のメニューは、怪我人が増えてきて、少し停滞気味のアントワープと、これまで上位との対戦が少なかったクルブの一戦。アントワープは昨季のレギュラーシーズンで、唯一クルブから2連勝を達成している。

クルブは右サイドにソワーではなくDFのファンデルブレンプトを起用。大敗したヘント戦の轍は踏まないと言わんばかりの、慎重な姿勢はプレーからも見てとれた。アントワープも前に出ていくパワーが不足していたため、良くも悪くもビッグマッチらしい重さがあった。

先制は、ほとんどシュートまで行けていなかったアントワープ。セットプレーから、元クルブのエンヘルスがゴールを奪った。そのまま前半を終えられれば理想的な展開に持ち込めたが、アディショナルタイムにクルブもコーナーから、ヴァナーケンが決めて同点。

後半も優勢はクルブ。少しずつサイドを崩す機会も増えてきたが、アントワープ守備陣がノア・ラングに決定的な仕事をさせなかった。82分に、DOGSOでアントワープのCBエンヘルスが退場。クルブは数的有利を活かして押し切りたかったが、勢いに任せた雑な攻撃に終始。クロスの本数が増えることが悪いとは思わないが、焦りがあったのか圧倒的な高さを持つヴァナーケンがまだ飛び込めないようなタイミングでクロスを上げてしまうことが多く、効果がなかった。そうこうしているうちに、カウンターを止めたンソキが2枚目のイエローで退場。どちらにとっても、あまりポジティブではないドローとなってしまった。

 

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ヘンク 0-3 ヘント

リーグ、ELともに負けが込んできたヘンクと、カンファレンスリーグでは好調を維持し、リーグでも首位オイペンを相手に前節久々の勝利を手にしたヘント。これまで勝てば首位というチャンスが何度かあったヘンクに対しヘントは下位に沈んでいたが、この試合ではヘントが勝てば勝ち点で並び、順位が入れ替わるという”6ポインター”となるまで気づけば差が縮まっていた。

”スーパーサンデー”の夕方に組まれた試合にふさわしく、立ち上がりから緊迫感のある工房が続いた。まず6分に伊東純也の惜しいボレーをボラートがセーブするシーンがあったが、ラインを高く保ち縦への速い攻撃で攻めるヘントの優勢が次第に鮮明に。意外にもヘントは11節終了時点での失点数が13とリーグ2位の少なさ。6−1と大勝したクルブ戦を筆頭に、アンデルレヒトアントワープといった強豪とのビッグマッチもそれぞれ1失点ずつはしているが、ハイラインを維持してのコンパクトなプレッシングで相手陣地に押し込み続けるような時間が長かった。奪えばティスダリ、ドゥポワトルと起点になるアタッカーが待っていて、さらにこの試合ではその少し下のスペースをベズスが自由に動き存分に活用していた。そのベズスは、後半自ら獲得したPKを決めてチームの2点目を挙げている。速攻ができなくともサモワーズ、フォルトゥナの両WBが幅を作り、ヘンクのブロックを広げて前の3枚のプレーエリアを確保した。

ヘンクは前半30分くらいから、少しずつペースをつかみ始める。ヘンクもサイドを変えながら、じっくり広く攻撃できるようになっていたが、ヘントの守備ブロックが固い。実は前半はヘントより多くの枠内シュートを放っているが、決定的なチャンスだと感じられるようなシーンはわずかだった。そうした中、ヘントが42分、CKを防ぎそのまま綺麗なカウンターでサモワーズがフィニッシュし先制に成功する。

攻めあぐねる展開の中で伊東はドリブルやクロスでかなりチームの攻撃に寄与しているように思えたが、2点を追いかける66分という珍しく早めの時間でトルストヴェットと交代。伊東が下がってからのヘンクの攻撃はロングボールが増え、トルストヴェットをターゲットやセカンドボールの回収役にさせたいという狙いがあったのかもしれないが、サイドを一切使えなくなってしまいゴールはより遠くなった。ヘントは79分にカウンターでドゥポワトルのパスを受け抜け出したティスダリが落ち着いてサディクをかわして3点目を挙げ、これで試合を決めた。

敗れたヘンクはリーグ戦3連敗、ELも含めると公式戦5連敗で10位に。勝ったヘントはこれで今季初の連勝。USGが2失点したため、チーム失点数はUSGと並び最少に。今後の上昇も期待できる充実の内容だ。

 

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ルーヴェン 4-1 シント・トロイデン

前節はともに追いついての2-2だった両チーム。立ち位置や地力を考えるとお互いに勝利したいゲームだったが、望み通りに試合を運べたのはルーヴェンの方だった。STVVはロングボールや、サイドを使った縦に速いシンプルな攻撃からリズムを作ることが多いが、この日はルーヴェンがあまり前からプレッシャーに来ず、最前線でもハーフウェイライン前後まですぐにリトリートするためバックラインで回すような時間が増えた。サイドのスペースをインサイドハーフが突くというような攻撃の形は着実に積み上がっているSTVVだが、そのパターンを使うスペースがなく、いつもと違う形で崩すことを求められた。18分にセットプレーから林大地が決めるもオフサイドで取り消し。その後は最前線で待つ林と、広範なスペースに顔を出す原大智という役割分担。原は普段ブリュースやデ・リダーがやっているような、斜めに外に抜けるランニングでWBからボールを引き出しチャンスメイク。21分には、左サイドから中に切り込み2人をかわしてラストパス、直後に今度は右サイドでバウアーから引き出しクロスを上げるなど、見せ場を作った。

攻撃は15分過ぎからハーフタイムを挟み先制点を許す59分までの間、ボールを持たせてもらえることを活かして、ぎこちなさは否めなかったし効率も悪いながら、ある程度の形は作った。一方この日はあまり守備が機能せず。林と原の2トップは積極的にボールを追いかけたがあまりに範囲が広く、その後方にいるIHのダーキンとデ・リダーも、追随してプレッシングに行くのかスペースを埋めるのか中途半端なポジショニングに。あまりプレッシャーをかけられていないにもかかわらず陣形としては514のようになってしまうことが多く、中盤が間延びしているところをメルシエやマールテンスに自由に使われてしまい、ルーヴェンに労せずボールを運ばれてしまっていた。59分先制を許すが、そのシーンもあまりにあっさりと前線にボールを通され、そこからメルシエのスルーパス1本で右サイドを崩されアル・ターマリの折り返しをカバに決められてしまった。直後にラヴァレーのゴールで一旦追いつくが、66分、カウンターに行こうとしたところを逆に奪い返され、スフライファースに決められ勝ち越しを許す。その後は押し込んでも、全ての攻撃が単発でフィニッシュに結びつかず。76分にライストナーのファールでPKを与え、ライストナーは2枚目のイエローカードで退場、PKもカバにしっかりと決められ試合が決してしまった。ルーヴェンはその後マールテンスもゴールを決めて4点目。負け試合は少ないものの、引き分けが多すぎて勝ち点を伸ばせず下位に沈んでいたルーヴェンが、5試合ぶりとなる3勝目を挙げた。

STVVは、これまでのようなコンパクトでタイトなプレッシングがこの試合では見られずに今季最多4失点で敗戦。4失点自体は重く捉えるようなものではないが、これまでの良さが失われてしまったことは不安要素だ。攻撃でも狙いどころの共有など連携面に問題があった。林と原のコンビは、どちらか一方に楔が入った時などはいい連携を見せていたが、裏に出たボールに対し2人がどちらも反応して追いかけかぶってしまうようなシーンが何度かあって勿体なかった。次節の相手はクルブだが、粘り強く戦えば勝機は見出せるはずの相手なので、攻守両面できちんと戦い方を整理して臨みたい。

 

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スラン 1-3 シャルルロワ

前節ヘンクに快勝し久々の勝利を挙げたシャルルロワは、この日もスラン相手に上々のパフォーマンス。まずゴリザデのパスに抜け出したニコルソンが今季7点目となるゴールを決めると、カイェンベのクロスにゴリザデが合わせ加点。前節のスコアラー2人の得点で2点のリードを奪うと、後半には森岡亮太が相手守備陣の隙間を縫うように30m以上1人でドリブルで持ち運び、自分で流し込んで加点。森岡は今季3ゴール目。アウェイではリーグ唯一無敗のシャルルロワは勝ち点を20に乗せて、4位オイペン、5位メヘレン、6位アンデルレヒトと並び7位まで盛り返してきた。スランは終盤1点を返すのがやっとで、連敗。16位に後退した。

 

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セルクル・ブルッヘ 1-1 スタンダール・リエージュ

4連敗中のセルクルと、前節連敗は止めたものの4試合勝利のないスタンダール。どちらも不調を早く脱したかったが、早い時間に点を奪い合うと、以降は決定打を出せずに痛み分け。セルクルは未勝利のベールスホットを除くと唯一ホームでの勝利がない。

 

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コルトレイク 1-0 オーステンデ

上位を窺える位置をキープする両チームの6ポインター。コルトレイクがパプ・ハビブ・ゲイェの1点を守り切って4試合ぶりの勝利を挙げ、オーステンデを抜いて8位に浮上した。4試合連続ゴール中だったオーステンデのマクタル・ゲイェはこの日は不発。

 

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メヘレン 2-2 ズルテ・ワレヘム

開始15分で2点ずつを取り合う慌ただしい試合に。メヘレンは一時好調だったニコラ・ストルムの当たりが止まっているが、他のアタッカーたちが点を取り始めて補完している。コーナーでの素早いリスタートから奪った2点目などは、チームのメンタル状態の良さを象徴している。連勝は4で止まってしまったが、まだまだ上位に残り続けるだろう。ズルテ・ワレヘムはアシストランクトップのドンぺがコーナーそしてクロスから2アシスト。連勝とはならなかったが、攻撃陣が復調し始めているので、下位脱出の兆しが見えてきている。

 

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アンデルレヒト 4-2 ベールスホット

4試合連続で引き分けと”ドロー沼”にはまっていたアンデルレヒトだが、最下位ベールスホット相手に4点を奪い久々の勝利。これで7戦無敗に。ベールスホットはこれで10敗目。鈴木武蔵は欠場が続いている。

 

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21/22 ブンデスリーガ 9節 ビーレフェルトvsドルトムント


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ビーレフェルトのスタメンは、

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、エジミウソン・フェルナンデス、ラウルセン、プリートル、シェプフ、クンツェ、ハック、セラ。

前節アウクスブルク戦の5バックは限定的な措置ではなく本格的な路線変更だったようで、そのアウクスブルク戦の後半を踏襲するメンバーで532。奥川雅也は今季初めてスタートのメンバーから外れ、最後まで出場はなかった。3トップでの守備がハマらず強豪相手に2トップに変えるという流れは2節→3節のデジャヴだが、修正しないよりはマシである。

 

一方のドルトムント

コーベル、アカンジ、ポングラチッチ、フンメルス、ヴォルフ、アザール、ジャン、ベリンガム、ロイス、ブラント、マーレン。

ドルトムントは前節まで4バックだったと記憶しているが、こちらも3バック(5バック)に。離脱者が多いという苦しい台所事情も影響しているのかもしれない。3CBの並びは、右からアカンジ、ポングラチッチ、フンメルス。ただしこの並びは前半の途中に変わる。WB、そして中盤から前も錚々たるメンバー。同数でのタイマン勝負のような形になればビーレフェルトには当然勝ち目がないので、捨てるエリアと厳しく行くエリアのメリハリが大事になる。

 

 

アウクスブルク戦では相手の3バックに対してふわっとアタッカー3人で寄せに行き失敗したわけだが、当然この日はそんな中途半端なことはできないし、メンバーもいじっているのでハックとセラの2人で牽制する。今季の全ての試合を振り返っても、後ろ3枚でのビルドアップに対しては最前線を2枚にした方が安定して守れている。もちろん前の人数を削っている分、後ろのスペースは1人分多く埋められているということはあるが。当然ドルトムントがボールを持つ時間が多くなるが、立ち上がりはアタッキングサードまでボールを届けさせず、いい入りができた。前節では右サイドでのフェルナンデスとシェプフの2人が絡むことで攻撃の起点となっていたが、シェプフのこの日のスタートポジションは左のIH。相手の左サイドにボールを誘導し、シェプフはアンカーのジャンを消しに行く形が目立った。当然シェプフが本来いる左のハーフスペースあたりが空いてしまうことになるが、ドルトムントほどの相手になるとこうしたスペースを見逃してはくれない。すぐに気づき、ブラントが降りてきたりアカンジが運んだりして活用するようになった。

 

ビーレフェルトは基本的に、相手のCBに持たれる分には構わないというスタンス。アウクスブルク戦ではシュトロブルにやられていたような、ベリンガムが左サイドに流れて引き出す動きを見せても、食い付かずブロックの維持を優先した。さらに逆サイドでアカンジやブラントが自由にボールを持てるという状況への対処も早く、10分過ぎにはシェプフとクンツェの左右を入れ替えて、このインサイドハーフの2人もなるべく相手に食い付かずブロックでのポジショニングを優先させるようになった。

 

29分に先制されるまでは、狙い通りに試合を運べていたのではないかと思う。ドルトムントがそこまで無理に攻めてこないことも手伝ってチャンスを与えなかったし、一方で奪ってからの速い展開でシュートに持ち込むことができた。特に惜しかったのは9分と17分のシーン。前者はハックのキープから、セラが繋いでシェプフがサイドを変え、右サイドを上がったフェルナンデスの折り返しを最後はハックのシュート。後者は、ボールを運ぼうとしたポングラチッチからセラがボールを奪い、千載一遇のチャンスを得るもタッチが悪く決められず。ドルトムントはこのプレー以降アカンジを中央、ポングラチッチを右とCBのポジションを入れ替えた。

 

直近2試合に比べれば希望を持たせる前半になるかと思えたが、ここから2失点してしまう。まずは相手の攻撃を一度は止めるも、カウンターに転じようというところで再度奪われ、PKを献上。これをジャンに決められて先制を許す。こうして一度攻撃を止めるも、その後が繋がらずに奪回されてしまうことは試合を通じて多かった。以降は崩されるケースや、プレッシングが上手くはまりそうなところを躱されてスピードアップされたり、ロングボール1本でフィニッシュまで完結させられてしまう場面も出てくる。そしてコーナーキックから、フンメルスのスーパーボレーで2点目を献上し前半を折り返す。

 

ビーレフェルトはこの試合もハーフタイムで2枚の選手交代。セラに代えてクロース、そして接触で痛んでいたブルンナーに代えてギリェルメ・ラモスが初めてブンデスリーガのピッチに立った。ラモスは今季加入したポルトガル人のCBで、メンバーには入り続けていたもののこれまで出場なし。ピーパーの欠場時も、「言語面での問題からまだ時間を与える必要がある」と監督から会見で説明されていたアンドラーデと違い特に言及もなく、本職でないデ・メディーナが起用されていたために、クオリティもしくはコミュニケーションのところでまだ起用できないという判断をなされていたのかと思われたが、ここでデビュー。初出場ながらも堂々としたプレーぶりで、前に出ていく強さと組み立ての安定感を披露し、セットプレーでも打点の高いヘディングシュートを放った。特に対面の相手への強さは現在右のHVで起用されているブルンナーにはない特徴なので、5バックが続くのであれば今後も活躍が期待できそうなパフォーマンスだった。

 

後半も、2点のリードを持つドルトムントは特に急いで攻める必要がないので、前半とおなじような推移に。ただ攻撃では、ハックが前半とは違って右サイドに顔を出す機会が増えたので、フェルナンデス、シェプフと絡むことが増えてそこからは少し可能性を感じさせた。フェルナンデスは依然としてフルタイム出場は叶わないコンディションであるので、ヴィマーと交代。前節いいところを見せられなかったWBとしてのリベンジになったが、展開が展開なだけに守備に回る時間は少なく、シェプフといい関係を築きドルトムントのDFからすればそれなりの脅威にはなっていた。最後に1点を返すPKをゲットしたのもヴィマーだった。

 

展開として圧倒的に支配されたり、試合を殺されて一切得点の気配がしなかったりという一方的な状況にはならなかったが、前がかりになったところを狙われてあっさり崩されてしまったり、せっかく相手の攻撃を止めてもマイボールにしきれなかったりという前半からの課題は残ってしまった。ベリンガムに許した3点目も、ゴール自体はベリンガムの素晴らしい個人技であったが、そこに至るまでの崩され方は淡白であった。

 

3点目で試合は決してしまったが、キックの調子がよかったオルテガからのフィードは久々に一つの主要な攻撃ルートになった。オルテガ→クロースのフィードは単に前者の正確なキックと後者の空中戦の強さのお披露目で陣地を回復できるというだけではなく、チーム、そして会場を盛り上げる作用がある。ヴィマーの獲得したPKをクロースが決めたのは終了直前で、ほんの一矢報いた程度のものだが、少しでもポジティブな空気で終われたことを前向きに捉えるべきなのだろう。

 

開幕から継続して高いクオリティを発揮していたのはロビン・ハックだったが、加えて戦列復帰したエジミウソン・フェルナンデスが期待通りのパファーマンスを見せ、アレサンドロ・シェプフも調子をあげてきた。個人的には歓迎していない5バックへのシフトチェンジだが、アウクスブルク戦、ドルトムント戦の180分である程度の目処は立てられたと思う。今季初勝利に近づいていると信じたい。

 

 

21/22 ブンデスリーガ 8節 アウクスブルクvsビーレフェルト

前節はレバークーゼンに大敗し、後味悪く代表ウィークに突入してしまったビーレフェルト。今節はアウクスブルクとのアウェイゲームだが、ビーレフェルトアウクスブルクブンデスリーガで未勝利。アウクスブルクはここまで1勝2分3敗で勝ち点5。順位はビーレフェルトより1つ上の15位。相性は悪いが、ビーレフェルト同様今季はここまで苦しんでいる相手なだけにここは必ず勝ち点を積み上げたいところであった。

 

ビーレフェルトのスタメンは、

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、ラウルセン、ヴィマー、プリートル、クンツェ、ハック、奥川雅也、セラ。

2週間前に行われた前節レバークーゼン戦からの変更は3人。左SBはチボラに代わりラウルセンが復帰。シェプフがベンチスタートでクンツェが3節フランクフルト戦以来のスタメン。FWはクロースが今季初めて先発を外れ、このところ出場の少なかったセラがビーレフェルトでは初めてのスタメン入りとなった。

 

アウクスブルクは343で、

ギキエヴィツ、オクスフォード、フーウェレーウ、グムニー、カリジューリ、ペダセン、シュトロブル、マイアー、バルガス、ハーン、ゼチリ。

昨季はヘルタから貸し出されビーレフェルトでプレーし、今季はアウクスブルクにローンで加わっているアーネ・マイアーがスタメン。アウクスブルクからのローンで昨季ビーレフェルトでプレーしていたセルヒオ・コルドバはベンチスタート。

 

狙いと設計が未成熟だった5バック

ビーレフェルトは前節から3人変えているが、スタメン発表の時点ではこれまで通りの4バックで4231か442が予想された。しかし蓋を開けるとビーレフェルトは5バックで、ヴィマーが右のWB、ラウルセンが左のWB、CBに右からブルンナー、ピーパー、ニルソン。最前線には右からハック、奥川、セラが並んだ。今季ここまで3バックで保持する相手に対してはあまりプレスがかからず苦戦を強いられてきたが、ここではミラーにして人数を合わせる狙いがあったか、今季初の5バックでのスタートとなった。

しかし、実際にこの5バックは、設計もしくは目論見に甘さがあった。まず、相手の3バックでのビルドアップに対する3トップのアプローチは、ハイプレスにいくわけではなく牽制程度。フライブルク戦やフュルト戦でも見られてように、「その程度の牽制なら3人いなくても出来るだろう」あるいは「人数合わせているのだからしっかりホルダーの自由を奪ってほしい」と思わされるような完成度。特定のエリアやコースに誘導するということもなく、アウクスブルクのバックラインは基本的にあまりストレスを感じずボールを持てただろう。

構造的なエラーは、ビーレフェルトの後方にも存在した。アウクスブルクの3バックがライン際まで開いた右WBのカリジューリにボールを通し、そこから一気に前線にボールを送るという形が立ち上がりから立て続けに発生したのだ。このように相手に配置を噛み合わせてミラーゲームを選択した場合、バックラインでの同数を受け入れてでも前から人数を合わせにいく必要がある。実際にビーレフェルトの最終ラインを見ると、3人のCBの前にアウクスブルクの3人のアタッカー(ゼチリ、ハーン、バルガス)がいることになる。アウクスブルクの左サイドにボールがある場合、ビーレフェルトの左WBラウルセンはここの3vs3のフォローのために大外のマークは捨てて絞ってくるのだが、右WBのヴィマーは本来DFの選手でもないためそうした動きは見られない。特にヴィマーのサイドにボールがある場合には、守備を手厚くしてフォローしないといけないという心証もあったであろう。ラウルセンのスライドのための時間は、前線の選手がボールホルダーの自由を制限することで本来担保できようものだが、実際には簡単にサイドへと展開されてしまう。開始1分のシーンでは、フーウェレーウから受けたカリジューリにラウルセンが遅れて出ていくものの、ワンタッチで内側にかわされ、前方のゼチリに通されシュートまで行かれているし、その3分後には、戻りオフサイドになったものの、より速く寄せたラウルセンの裏をかいて今度はカリジューリがダイレクトでボールを送っている。

これらのシーンに危機感を覚えたのか、奥川にCBへのプレスと2CH(シュトロブル、マイアー)のケアを兼務させる形を変え、その2人にはプリートルとクンツェが出ていくようになる。すると今度は間延びしたスペースを狙われ、ロングボールを蹴られてフィニッシュまで持ち込まれてしまう。縦の距離を引き延ばされ、相手が蹴ったボールも、こちらが蹴ったボールも、sボールを回収できず苦しい時間が続いた。

17分には、アウクスブルクがビルドアップからビーレフェルトの守備を剥がしにきて、これが先制点のシーンに繋がる。CHのシュトロブルが左サイドに流れると、左WBのペダセンがハーフスペースを前方に走り、マークをズラす。ここでの縦へのボールは一度防いだが、繋げられず奪い返されると、カリジューリにシュートを放たれる。これはオルテガが防いだが、そのCKからオクスフォードにヘディングシュートを決められてしまう。失点自体はセットプレーであるが、繰り返し簡単な前進を許しては相手にCKを与え続けていたことを考えると、試合の入りに失敗した結果と言える失点であった。

 

まず疑問が残るのはヴィマーの起用だ。ここまでヴィマーはフランクフルト戦の同点ゴールを皮切りに攻撃面ではインパクトを残してきたが、SHで起用されても守備では不安があり、ハックや奥川と比較するとSHとしての守備タスクの達成度は低かった。この試合でもヴィマーはアフターでトリッピングしてしまうシーンが多く見られ、26分には繰り返しの反則を取られてイエローカードを受けた。失点シーンの前にあったような、シュトロブルがサイドに流れる形では判断が遅れ、プリートルに強く指示を受けて慌ててアプローチに行くようなケースも見られた。ヴィマーがチーム内での原則を一切遵守できていなかったというなら話は別だが、これまでのプレーを見ていれば守備の弱点となりうるのは明白で、起用した方が悪いと言えるだろう。

また5バックを選択していながら、縦につけられたボールに対し3CBがほとんどチャレンジすらできていなかったことも気になった。もしかするとアウクスブルクが532で来ることを想定しており、3バックをセラとハックで牽制し、奥川はアンカーのケア。後方では2トップ+2IHに対してCH+3バックで対応するという狙いだったのかもしれないが、開始1分の時点でこの狙いが外れていることは発覚しているので、例えば奥川とクンツェをIHとして並べ、プリートルにDFラインの前をプロテクトさせるなどの処置を講じるべきだったのではないかと思う。

 

前半も終盤にかけてはボールを持てるシーンが少しずつ増えていったが、落ち着いてボール保持はできず。攻め手はせいぜいハックがキープしサイドを変える展開くらい。苦し紛れのミドルシュートが目立った。

 

後半は適切な改善

1点を追いかけるビーレフェルトは後半頭からヴィマーと奥川に代え、シェプフとエジミウソン・フェルナンデスを投入。中盤は3枚にし、プリートルがアンカーでその左にクンツェ、右にシェプフが入った。フェルナンデスはそのままヴィマーの務めていた右WBに。

応急処置として妥当に思えるこの交代は、実際に奏功。同数でのマッチアップを強いられていた3バックの前をプリートルがプロテクトし、中盤の人数が増えたのでセカンドボールの回収合戦でも優位に立てるようになった。さらに中央もサイドも対応できるフェルナンデスがWBに入ったことで、対面のWBを牽制しながら中央エリアのフォローに入ることも可能に。サイドのコースを消しつつ、内に絞ってパスカットというシーンも見られた。

前半ではビーレフェルトの3バックに対し積極的にプレスをかけていたアウクスブルクだが、後半はそれほど余裕を持てなくなったのでリトリート気味に。その分落ち着いてバックラインでボールを持てるようになったビーレフェルトは、右サイドでシェプフ、フェルナンデスを中心に、さらにブルンナーも加わって起点を作り攻撃のルートを見出した。繋いで前進することができなくても、バックラインでは時間の余裕があるためオルテガからしっかり狙ってフィードを蹴る形も久々に作れた。

75分の同点ゴールのシーンも、右サイドでの起点を作れたことに起因する。これで得たスローインから、弾かれたボールをラウルセンがダイレクトで決めて同点に追いつくことができた。

その後はキックオフでの再開直後にネットを揺らされたが、幸運にもオフサイドでゴールが認められず。そのまま1-1で終了。ビーレフェルトとしてはどうにか勝ち点1を拾った格好だ。

 

厳しい試合だが収穫もあり

劣勢から少しずつ盛り返し、最後はスーパーゴールで追いつく展開はフランクフルト戦を彷彿とさせる。ただ、この試合の方が、同点に至るまでの試合展開はネガティブ。試合の入りは準備の不十分さを感じさせた。前半は絶望的だったが、ハーフタイムの選手交代で修正したことは評価に値するだろう。特に収穫は”エディ”ことエジミウソン・フェルナンデス。コンディションの問題からまだ90分フル出場は叶わないが、ポジショニングやボール捌きはレベルの高さを感じさせた。彼と近い位置でプレーすることで、シェプフも加入後で最も良いパフォーマンスをしていた。複数のポジション、ロールに対応できる点もこの2人の強みであるので、5バックを継続するにしろ、4バックに戻すにしろ彼らを軸に戦い方が構築されるのではないだろうか。

ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 11節

10月の代表ウィークを挟み、2週間ぶりの開催となった11節。

今節はなんといってもこの人でしょう!


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クルブ・ブルッヘ 2-0 コルトレイク

9月はCLで躍進したものの中断前のリーグ戦は連続ドローで3位に転落してしまったクルブ。この試合ではフォルマーがスタメンに復帰し、マウアサが左SBで出場。ヘンドリーとンソキに押され気味のCBメヘレも久しぶりに先発出場を果たした。

コルトレイクは3日前の日本戦にフル出場していたCBのセインズベリーがスタメン。433でサイドを広く使って組み立て中央にスペースを作り、そこからヴァンデンドリーシェやパラベルサが配球してゴール前にボールを運び、非保持では中盤のフィクセルスがトップに上がり442でのハイプレスで序盤はクルブを圧倒した。プレーが切れると監督が「サイドを変えて、縦に速く」というようなジェスチャーをよく送っていたのが印象的だった。

立ち上がりは少し苦労したクルブだったが、徐々にサイドでWGとSBのタンデムからチャンスを作れるようになってくる。右サイドのソワーとマタはコンビを組み始めて1ヶ月にしてすでに相当な意思疎通が見られ、さらに攻撃ではフリーダムに振る舞う左サイドのラングもやってくることでボリュームのある崩しが可能になり、左サイドでは新加入のマウアサが機を見たインナーラップでラングを援護した。ただクルブの得点シーンはいずれもシンプルな展開。30分すぎの1点目はヴァナーケンがゴールキックを引き出し、裏に蹴ったボールに抜け出したソワーをセインズベリーが倒してしまい得たFKを、フォルマーが直接きめたもの。フォルマーはこれでリーグ戦では通算9本目となる直接FK弾。さらに前半アディショナルタイムにも、ミニョレのキックからソワー→ラングと繋がり最後は折り返しをまたしてもフォルマーが決めて加点。クルブが柔軟さと地力を見せつけるような2点だった。

それまで丁寧にスペースを作ってからスピードアップする形で攻撃していたコルトレイクだが、先制を許して以降は前線への長いボールが増えて単調になってしまう。セレマニ、ゲイェ、モレノの3トップは強力だが、上手く力を発揮させるようなボール供給ができなくなっていた。一方のクルブはこうしたコルトレイクの変化と特に後半は前がかりになった姿勢を見逃さず、DFライン裏へのボールやサイドチェンジ、WGの背後のスペースをSBに使わせるといった対応を見せ、磐石な試合運び。終盤には万雷の拍手に包まれながらイスキエルドが復帰後初出場を果たし、2-0で試合を締めた。

開幕からここまで好調をキープしてきたコルトレイクだが、久々の敗戦で10位に後退。一方のクルブは、連続ドローを止めて3試合ぶり勝利。これまでは勝っても不安定さをのぞかせるような試合が多かったが、この日の柔軟で磐石な内容は、リーグ戦では今季ベストゲームだったと言えるだろう。アントワープとオイペンがともに敗れたこともあり、首位USGと勝ち点で並び2位に。ここからアントワープやヘンクとのビッグマッチが残っているが、叩けば頭ひとつ抜けられるチャンスでもある。

 

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シント・トロイデン 2-2 アンデルレヒト

直近6試合では3勝2分け1敗と調子の上がってきているSTVV。このままいけばPO2出場権争いも現実的という位置につけている。鈴木優磨が怪我で離脱してしまい、この日は初めて原大智と林大地が2トップを組んだが、2人が攻撃の軸となり、チームは試合を通じて相手を大きく上回る25本のシュートを放つなど強豪アンデルレヒト相手にも十分戦うことができた。

カカーチェとバウアーの両WBが高い位置で幅をとってアンデルレヒトのSBを引きつけ、2トップの林と原、IHのブリュースが裏を狙っていくスタイルは効果的。ポゼッションは次第に追いつかれていったがシュートは許さず、ロングボールが増えると林と原はターゲットして、ポストプレーで存在感を放った。林と原、2人の間でのコンビネーションも良く、どちらかが競りあったボールをもう一方が拾って攻撃に繋げるシーンも多かった。

それだけにどちらもかなり厳しい判定でとられたPKでの2失点は痛かった。特に1点目は、後半も前半と変わらない勢いで攻め立てようという立ち上がりに、相手陣内でのロストから、テイシェイラが1人で2トップを見ないといけないような状況が一瞬誕生して裏のスペースを使われたので少しもったいなかった。

STVVの2ゴールはいずれもセットプレーの流れから、コナテとライストナーがそれぞれボレーで決めたもの。チャンスを数多く作っていたため流れの中からの得点があればよかったが、2点とも攻め続けてこじ開けたようなゴールだったと言えるだろう。

久々にスタメンの林と、2試合連続フル出場の原は”試運転”の期間を終えて本格的にチームの主力に。特にデビューから結果を残した林と違い原は苦労するかと思われたが、背負って受けるプレーもしっかりこなすなどSTVVに来てからもさらに成長した跡が窺える。ほかにもコイタやバロンゴといったライバルがいるが、リードしているのは林と原の2人。鈴木が不在の間に実績を積み上げ、競争力を高めていってほしい。

 

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シャルルロワ 2-0 ヘンク

クルブ戦で今季初白星を喫して以降調子を落としてしまったシャルルロワと、勝てば首位、という上位対決を相次いで落とし、ELも含めて悪い流れで代表ウィークに入ったヘンクの対決。双方にとって簡単ではない相手で、ここを取って調子を取り戻したいところ大事な一戦をモノにしたのはホームのシャルルロワ。今季のシャルルロワは非保持時に、意図的に1人に複数人を管理させる”無茶振り”をして、後ろのリスク管理をしつつ前から人数を合わせてプレッシングすることを可能にしている。この試合では433のヘンクに対し、WBの選手が最初はDFラインでヘンクのWG(ボンゴンダと伊東純也)をマークしつつ、自分のサイドのSBにボールが入ればその選手にアプローチ。空いてしまったWGは、3バックがしっかりスライドして埋めるというシステムで、ヘンクの攻撃を遮断。保持では、シャルルロワの中盤3人が逆三角形なのでヘンクの中盤3枚と噛み合っているが、森岡亮太が最前線から降りてくることで森岡、ゴリザデ、ゾルガンの誰かが必ずフリーになれることで円滑なポゼッションを実現。ヘンクは中盤の人数を増やそうにも、3トップの守備意識は希薄、DFラインはSBが攻撃性能に優れるシャルルロワの両WB(左:カイェンベ、右:チャチュア)にピン留めされ、降りる森岡にCBがついていけばFWのニコルソンへのロングボールが容赦無く飛んでくるため対応に苦慮した。こうした展開を思えば、プレッシングで伊東が奪い、決定機を決めきれなかったシーンは悔やまれる。

ヘンクもCHがサイドに流れてIHを釣りだすことで中央のスペースを空け、少しずつ前進の手立てを見出すが、全体の流れとしては優勢を保ちスコアレスで前半を終えたシャルルロワ。55分にセットプレーから先制。森岡の右CKをニコルソンがヘディングで合わせた。このホットラインでの得点は今季すでに4点目。

少しずつ押し込み時間を長くしていたヘンクは81分にオヌアチュがPKを失敗。セーブしたコフィが先にラインを出ていたとして一旦は蹴り直しになったが、その蹴り直しのPKをまたしてもコフィがセーブ。ヘンクはDFラインの枚数を削ってウグボを投入し、放り込みを始めるが機能せず、逆に背後に広大なスペースを残してしまうとカウンターからゴリザデのゴールでシャルルロワがリードを広げ、2-0で終了した。シャルルロワは4試合ぶりの勝利。ヘンクはリーグ戦直近4試合のうち3度目の敗戦。思わぬ苦戦を強いられてしまっている。

 

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ユニオン・サン・ジロワーズ 4-2 スラン

ともに前節は勝利を挙げた昇格組同士のゲーム。前半スランがジャロウとミカウタゼのゴールで2点を先行。さらにATにはUSGのアマニがレフェリーへの挑発的なジェスチャーで2枚目のイエローカードをもらい退場してしまう。とにかく点を取らなければならないUSGは後半頭から三笘薫を投入、左WBに入り、342のような形で得点を目指す。55分、三笘が左サイドをドリブルで突破しジュピラープロリーグでの初ゴールを奪うと、66分にはファンゼールのゴールで同点に。さらにその10分後三笘がファンゼールのパスから決めて逆転すると、終了間際にもカウンターから長距離を独走し3点目。三笘がハットトリックの大活躍でUSGを逆転勝利に導き、チームも首位に浮上した。

 

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オーステンデ 2-1 セルクル・ブルッヘ

3連敗中の17位セルクル・ブルッヘは、後半にカウンターからソマースのゴールで先制。しかしそれ以降はホーム、オーステンデの猛攻の時間に。75分、左サイドのクロスから、ゲイェがヘディングシュートを決め同点に。ゲイェはこれで4試合連続のゴールとなり、今季8得点目。終了間際にセットプレーからアマデが押し込み、オーステンデが土壇場で逆転勝利。敗れたセルクルは泥沼の4連敗で今季7敗目。

 

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ズルテ・ワレヘム 2-1 アントワープ

4試合勝利なしと苦しんでいたズルテは、この試合も先制を許す厳しい展開に。しかし後半ガノが3試合ぶりとなる今季6ゴール目を挙げ同点に追いつくと、その5分後にはクテサが決めて逆転に成功。1ヶ月半ぶりの勝利を上位のアントワープから逆転でもぎとった。アントワープは久々のスタメンとなったベンソンがカットインから豪快なシュートを突き刺したが痛恨の逆転負けで4位に後退。ポジション争いのライバル、ベンソンが活躍した一方三好康児は久々のベンチスタート。逆転を許した直後の69分から出場した。

 

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スタンダール・リエージュ 2-2 ルーヴェン

3連敗と苦しみ、監督交代に踏み切ったスタンダール。タプソバのゴールで先制すると、後半にはドラグシュのゴールで加点。あとは逃げ切るだけだったが、アディショナルタイムは10分。まず96分にルーヴェンがメルシエのミドルシュートで1点を返すと、99分にソリー・カバが移籍後初ゴールでまさかのドロー決着。新体制での初勝利が寸前でこぼれ落ちた。ルーヴェンはこれで今季7試合目の引き分け。あまり負けていないが、ほとんど勝てずポイントを伸ばせていないが、アウェイでATに2点差を追いついてのドローを上昇の足掛かりにできるだろうか。

 

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ベールスホット 0-1 メヘレン

前節ようやく連敗を7で止めたベールスホットだが、前半ムラブティにゴールを許すと、後半の猛攻も実らず敗戦。依然唯一の勝ちなしチームとなってしまっている。一方のメヘレンは、アンデルレヒト戦のショッキングな大敗以降は完全に持ち直して4連勝。順位も6位にまで上がってきた。

 

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ヘント 2-0 オイペン

なかなか波に乗れないヘントだが、首位オイペンを圧倒し2-0で勝利。今季のヘントはやたら首位のチームには強い。クリーンシートはこれが2試合目だが、失点数は13で、これは11失点のUSGに次いでリーグで2番目に少ない数字。ここで連勝できると、上位争いにもやっと参戦できそうな位置まできた。オイペンは次節、入れ替わるように首位に浮上したUSGとの直接対決。1位集団に踏みとどまれるか分水嶺が待っている。

 

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ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 10節

10月の代表ウィーク前、最後の1試合。前節終了時点で1位のクルブから、12位のシャルルロワまで勝ち点差はわずか5。特に2位から4位はオイペン、ヘンク、アントワープが勝ち点17で並び、8位から12位も5チームが勝ち点13で並ぶ混戦ぶり。今節はオイペンvsヘンク、シント・トロイデンvsオーステンデ、メヘレンvsスタンダール、スランvsズルテ・ワレヘムと同勝ち点のチームによる直接対決が4試合もあった。クルブはアウェイでアンデルレヒトと引き分け首位陥落。ヘンクとの直接対決を制したオイペンがトップに返り咲き、ヘントに勝利したアントワープも同じく勝ち点20で2位につけている。三笘薫が初アシストを決めたユニオン・サン・ジロワーズは3位に浮上した。

 

 

 

シント・トロイデン 1-1 オーステンデ

勝ち点13で並ぶ、8位シント・トロイデン(以下STVV)と10位オーステンデの6ポインター。移籍市場のクローズ後はスタメンを固定していたSTVVだが、この日はともに新加入の原大智とバウアーが初のスタメン出場を果たした。試合序盤はホームのSTVVが積極的なプレッシングでオーステンデに自由を与えず。保持ではこれまで通り、あまり繋がずシンプルに蹴りリスクを避けていたが、相手陣地でキープに成功させると左サイドで人数をかけて空けた右サイドの橋岡大樹へのサイドチェンジや、ハーフウェイライン+5〜10m程度のところで橋岡が前を向いてボールを持ち、オーステンデの左SBエンディッカを食いつかせてその背後にデ・リダーが走り抜けるパターンがよく見られた。前半のスタッツではSTVVの攻撃の7割が右サイドからで、橋岡からクロスが上がるシーンも多かったが、試合を通じてほとんど中の選手とは合わなかった。初先発の原大智は序盤こそボールを収めきれない場面が目立ったが、25分にビッグチャンスを演出する。カウンターでコナテからのパスを収め、右サイドにスルーパス。最初におパスを出したコナテが抜け出し独走、1vs1のシュートチャンスはキーパーに阻まれるが、リバウンドを原が拾い、ファーへクロス、これをデ・リダーがオーバーヘッドで叩き込んだが、無情にも戻りオフサイドでノーゴール。原としては幻のアシストとなったが、これ以降はリズムを掴んだか簡単に味方にはたくポストプレーでチームの攻撃に効果的に加われるようになってきた。一方ペースを握れていなかったオーステンデもこの辺りの時間帯から修正。4バックをあまり崩さずにビルドアップをしようとしていたが、CHがCBの間に落ちてSTVVのプレスを噛み合わなくし、中盤にスペースを得て前に運べるようになっていく。印象としてSTVVのほうが主体的に試合を進めているように見えた前半だが、コナテのシーン以外でシュートを打てなかったSTVVに対しオーステンデはショートカウンターやセットプレーで多くゴールに迫っていた。

後半ではショートカウンターからファーのWBに通す形でよりシンプルに攻撃できるようになってきたSTVV。キープはできなかったものの味方へのフリックが機能するようになってきた原は、左サイドでダーキンのスルーパスに抜け出し、初めて裏抜けで味方からのボールを引き出す。その直後、ライストナーが右サイド高い位置でオーステンデのカウンターの芽を潰すと、橋岡が受けてスルーパス、抜け出した鈴木優磨のシュートはキーパーに阻まれたが、跳ね返りを原が冷静に流し込んでSTVVが先制。原はこれがSTVVでの初ゴールとなった。ただしSこのリードを長くは保てず、数分後に右サイドのFKから、メドリーが頭で繋ぎ、ゲイェにフリーで押し込まれる。オーステンデのゲイェはこれで今季7点目。その直後、STVVはダーキン、デ・リダーに代えてライツ、ブリュースを投入する、前節は勝ち越しを掴んだ交代を行う。デ・リダーは右サイドで攻撃にコミットすることが多かったが、ブリュースは左サイドに流れることが多いので前半とは変わって左からのクロスが増えた。63分には、その左サイドのカカーチェのクロスをイェッケルがクリアミスし、原の目の前にこぼれたが、シュートはユベールが好セーブ。原にとってはストライカーとして決め切りたい場面だった。

以降もSTVVが押し込んだが、勝ち越せず1-1で終了。上位に食い込んでいきたい両チームにとって悔しいドローだった。先発出場のシュミット・ダニエル、橋岡、鈴木、原は全員フル出場。原は得点でアピールに成功したがFWとしては課題もあり、これでやっとポジション争いのスタートラインに立ったというところ。この日は出場のなかった林大地と、改めて鈴木優磨のパートナーの座を争う格好になるだろう。

 

 

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アンデルレヒト 1-1 クルブ・ブルッヘ

9月は無敗だったが、ここ2試合は先制されて追いつくのがやっとだったアンデルレヒト。真価の問われるゲームに。直近のCLでライプツィヒを破ったクルブは連戦だがメンバーを固定。怪我の影響でベンチスタートのフォルマーを除けば、これが現在の最適解ということなのだろう。

アンデルレヒトはまず速攻で押し込み、ついで先に保持を安定させる。しかしこの試合ではビグマッチとあってかいつもより慎重に見え、CHのカレンやオルソンはあまりDFラインまで降りて来ず、逆に普段高い位置を取る両SBも自重気味だった。クルブも同様にシンプルに縦に入れることが多かったが、こうして一度ラインを上げてからのプレッシングで少しずつペースを掴んでいく。ボールはソワーのいる右サイドに集め、そこに逆サイドのラングも寄ってきて、入れ替わるようにリッツやヴァナーケンが裏に抜ける形が最近は目立つ。勢いを得たクルブは、アンデルレヒトがキーパーから繋ごうとしたボールをリッツが奪って決めて早々に先制した。その後アンデルレヒトはクルブのDFラインの裏を狙いいくつか危険なシーンを作ったが、トータルではクルブに分がある前半であった。

後半はアンデルレヒトがいつもの形でボールを回せるように変形を試みるが、チャンスの創出には繋がらず、逆にソワーに代えてフォルマーを入れ、守備を意識し始めたクルブが縦に速いシンプルな展開から再び押し込むようになる。アンデルレヒトのこの悪い流れを一変させたのはベニート・ラマン。73分にピッチに入ると、その2分後、アムズのパスに抜け出し同点ゴールを奪った。右サイドでフリーのアムズに対しバランタが中央から遅れて対応しにいくシーンが少し目立ち始めていたが、このミスマッチを修正される前に同点に追いつくことができた。クルブの混乱は失点後も少し続いたが、意気消沈したかラングに代えてファンデルブレンプトを入れ、最後はドロー狙いで試合をクローズさせた。ホームのアンデルレヒトは3戦連続のドローで足踏み。3試合全てが先行されて追いかける展開となっている。前節に引き続き勝ちきれなかったクルブはここでついに首位陥落。この1ヶ月は、少なくともリーグでは”安定”をとったように見えるが、次は勝ち切る力を高めていかなければならないだろう。

 

 

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アントワープ 1-0 ヘント

この試合に勝利すれば、オイペンとヘンクがドローなら首位、勝敗がつけば勝利した方のチームと勝ち点で並んで2位となれるアントワープ。開始早々にフライのフリックに三好が抜け出し大きなチャンスを得るが、折り返しをDFにクリアされフィニッシュに至れず。この試合のアントワープは三好とフィッシャーをシャドーに置く433で、ボールを持てばフィッシャーも三好もかなり内に入ってプレーする。特に左サイドのフィッシャーの分の守備の負担はナインゴランがケアしていて、時にはフィッシャーのさらに外側で守備をするようなシーンも。三好とフィッシャーが守備で多少遅れることは、あらかじめ許容し対策をしておくという形に見えた。よりよいパフォーマンスをしていたのはヘントの方。アントワープはビルドアップにさほど拘らず、ハイプレスもなかったが、ヘントはその隙を見過ごさず高いラインを保って、最初の30分はかなりの時間相手陣地に押し込み、ショートカウンターでチャンスを継続的に作った。惜しむらくはチャクヴェタゼの退場。意図してのものではないが、プレスに行った際ゲルケンスの足を踏む格好になってしまい前半33分でヘントは10人に。それでも前半はペースをアントワープに渡さなかったが、後半はゲルケンスに代えてサマッタを投入し、数的有利を活かし前線のパワーを補強したアントワープにじわじわと押されていく。残り15分までは耐えたが、フェルストラーテのFKをボダールがセーブしたこぼれ球をフライに詰められあえなく失点。このままアントワープが1-0で勝利し2位に浮上。ヘントは5試合勝利なしで15位まで後退した。決勝ゴールのフライは今季早くも11ゴール目。驚異的なペースで得点ランクトップを快走中だ。

 

 

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メヘレン 3-1 スタンダール

勝ち点13で並ぶが、直近の成績はメヘレンが2連勝、スタンダールが2連敗と対照的。8月は悪くなかったものの、なかなか調子を取り戻せないスタンダールは5バックに変更。しかし成功せず、18分までにメヘレンに3ゴールを許した。メヘレンはストルムの連続ゴールこそ止まったものの、チームの得点力は止まらず、好調を維持している。

 

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コルトレイク 2-2 シャルルロワ

勝ち点1差の対決。コルトレイクは前半終了間際にスレマニが今季6点目となるゴールを自ら得たPKで挙げ、先制。後半シャルルロワ森岡亮太→ニコルソンのホットラインで追いつく。5分後にアリウイに決められ再度勝ち越しを許すが、アディショナルタイムにゴリザデのゴールでどうにか追いついた。コルトレイクは3戦負けなしで、今季のドロー3つは全てが2-2。シャルルロワは連敗を2で止めたが、この1ヶ月は停滞期に。森岡は今季3アシスト目を記録。この試合ではシュートにつながるパスを多数供給し、SofascoreのレーティングではUSGのウンダフに続き7.74でリーグ2位となっている。

 

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セルクル・ブルッヘ 0-3 ユニオン・サン・ジロワーズ

USGは後半、ウンダフのアシストからファンゼールのゴールで先制、さらに同じラインで追加点を奪うと、83分から三笘薫が交代で出場。直後に、左サイドを突破してラプサンのゴールをアシストした。2ゴールのファンゼールはこれで今季7ゴール。USGは勝ち点を19に伸ばし、1位オイペンと勝ち点1差の3位に。セルクル・ブルッヘは3連敗で17位に転落した。

 

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ルーヴェン 0-0 ベールスホット

未勝利、勝ち点1で最下位に沈み、目下泥沼7連敗中のベールスホットは、アウェイでルーヴェンと引き分けて2節以来の勝ち点。今季初めてのクリーンシートも達成した。ベンチスタートが続く鈴木武蔵は58分から出場。先週は首位クルブを追い詰めたルーヴェンだが、今節は最下位ベールスホットに勝ちきれず3戦勝ちなし。10試合を終えてドローが6試合はリーグ最多である。

 

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スラン 5-1 ズルテ・ワレヘム

勝ち点9で並び、ともに3試合勝利のないスランとズルテの直接対決は、ジョージア代表FWミカウタゼのハットトリックなど大量5得点でスランが勝利し連敗を3で止めた。前節は終盤に2点ビハインドを追いついたズルテだが、今節は26本ものシュートを放たれ大敗。1ヶ月以上勝利がない。

 

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オイペン 3-2 ヘンク

先に試合を行っていたクルブ・ブルッヘが引き分けたため、どちらにとっても勝てば首位となれる2位、3位の直接対決。ヘンクは前半、PA内でムニョスからボールを受けた伊東純也のタッチが流れたボールをトルストヴェットが決めて先制。少し怪しいが、伊東はこれでリーグ戦4試合連続のアシストになった。その後、オイペンはプレヴリャクがPKを決めて1-1で折り返すが、59分、抜け出したトルストヴェットをアマトが倒してしまい退場。その10分後、ウグボのゴールでヘンクが勝ち越す。ヘンクはこのまま逃げ切りたかったが、85分カウンターを食らいプレヴリャクにこの日2点目を許し同点に追いつかれる。アディショナルタイム、左CKが流れたボールをオイペンのCBへリスが豪快なボレーでネットを揺らし、土壇場でオイペンが逆転。クルブをかわし、アントワープとは勝ち点で並んでいるものの得失点差で首位に立った。ヘンクはオーステンデ戦、USG戦などに続き、またしても終了間際にセットプレーから失点し勝ち点を失う結果に。直近のELでも大敗しており、過密日程が祟ったか息切れ気味で代表ウィークへ向かうことになった。フル出場の伊東純也は、先制点のアシストの他にもポスト直撃のシュートや、ウグボのゴールにつながるクロスなど攻撃で存在感を十分に発揮した。

 

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21/22 ブンデスリーガ 7節 ビーレフェルトvsレバークーゼン


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6試合を終えて4分2敗、大崩れはしていないものの白星が遠いビーレフェルト。10月の代表ウィーク前最後の一戦は、本拠地シューコ・アレーナに2位レバークーゼンを迎える。今季ヤングボーイズからジェラルド・セオアネを監督に招聘したレバークーゼンは、現在公式戦4連勝中。ブンデスリーガでは4勝1分1敗で2位につけている。木曜日にELを戦っているため日曜開催。直近のリーグ戦からは3人しかメンバーを入れ替えず、アウェイでセルティックに0−4で勝利している。今季は一見消耗の激しいように見えるハイプレスを用いているが、セオアネ監督は過密日程を歓迎するコメントを会見で残している。昨季のビーレフェルトレバークーゼンの対戦は1勝1敗。どちらのゲームもアウェイチームが1−2で勝利している。バイ・アレーナでの対戦では、堂安律、奥川雅也と日本人2人が得点しフランク・クラマー体制初勝利を挙げたため、よく記憶している人も多いだろう。1部での通算対戦成績はビーレフェルトから見て9勝9分10敗と、意外にもほぼ互角である。

 

ビーレフェルトのスタメンは前節から2人を変更。

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、チボラ、シェプフ、プリートル、ヴィマー、奥川、ハック、クロース。

前節は怪我の影響で出場時間が限定されていたヴィマーがラスメに代わりスタメンに復帰。また左SBには万全でないラウルセンに代わり、腰の怪我から復帰したチボラがブンデスリーガで初めて先発した。

 

レバークーゼンは、

フラデツキー、ター、コスヌ、フリンポン、インカピエ、アランギス、デミルバイ、アドリ、ヴィルツ、ディアビ、シック。

ミッドウィークにアウェイでのELがあったが、メンバーの入れ替えは最小限。特にCBのターと右SBのフリンポンは、リーグとELの全ての試合にフル出場している。左SBはバッカーが外れ、インカピエがブンデスリーガで初めてスタメンに名を連ねた。

 

失敗したゲームの入り

4節では奥川、5節ではヴィマーがクロースの相方として2トップの一角に入っていたが、この試合ではヴィマーが右で奥川が左サイド。そしてこれまで左サイドで守備に奔走していたハックがクロースと並んでFWに入った。最適な組み合わせと配置の試行錯誤が続いているのか、ヴィマーの復帰に伴って少し変えてきた格好だが、これは得策とは言えなかった。ラスメも含めここまでサイドハーフとしての起用があった4選手の中で、サイドでの守備タスクを最も堅実にこなせるのがハック。特にレバークーゼンは今季右SBフリンポンの攻撃参加が大きな武器となっているため、ここを抑えることは必須だったはずだが、なぜか逆にハックを外してしまった。そして当のハックは2トップの一角としては、プレッシング時もリトリート時もSHの時に見せているようなインテリジェンスを発揮してはくれなかった。両サイドの奥川とヴィマーに特に大きな問題があったわけではないが、レバークーゼン対策と思しき動きが見られたわけでもなかったので、少し不可解な変更であった。

前線の非保持時の機能不全は、序盤から試合の流れに影響を及ぼした。ホッフェンハイム戦のようなチャンスメイクを狙ったのかあるいは雨の影響か、特に立ち上がりのビーレフェルトはシンプルに前に蹴ってラインをあげることがほとんど。セカンドボールもあまり回収できず、奪っても単発な攻撃に終始したため、レバークーゼンがボールを持っている時間が長く感じられた。ただし主に2CBプラス間に落ちるアランギス、あるいはCB脇に落ちるデミルバイの3人か4人でボールを持つレバークーゼンに対し、ボールを奪いに行くのかそれとも引くのか、中途半端な状態が続いた。特にアランギスが落ちないような場面では、CBにも行けず、アランギスも抑えられず、簡単に通されては前を向かれるシーンが目立った。2トップでの牽制が機能しない以上はCHもポジショニングが定まらず、ヴィルツやアドリにライン間をかなり自由に使われることになってしまった。ピッチ中央でボールを運ぶヴィルツを、プリートルが後ろから追走するという本来ならトランジッションで大きなエラーが起きた際にしか起こり得ないようなシチュエーションが何度も繰り返されるのは見ていて辛いものがあった。

実際にレバークーゼンに先制を許したシーンはカウンターから。ヴィマーのかなり無謀なシュートがDFにあたるとこぼれ球をアドリに拾われ、プリートルを食いつかせてヴィルツにスルーパス。側から見る分にはアドリに対してプリートルよりもチボラが対応し、プリートルがダウンした方がよかったように思うが、この辺りのすり合わせはまだ時間を要するかもしれない。折り返しを受けたシックのトラップミスが、ブルンナーに当たってディアビの前方に零れるという不運もあったが、ペースを握れない中でのもったいない失点であった。

 

幻の同点ゴール、即座に追加点

失点直後、ロングスローからヴィマーが相手の意表をつくロングヒールシュートを奪うが、オフサイドポジションでシュートをスルーした奥川が明らかにフラデツキーに影響を与えていたためOFRの末ノーゴールに。束の間の歓喜が打ち消されると更なる発奮の起こる前に2失点目。ヴィルツがアランギスとのワンツーで中央を割ると、スルーパスにシックが抜け出し簡単にゴール。2トップがCBまでプレスに行った際、シェプフがそれに追随して高い位置までデミルバイもしくはアランギスを捕まえに行くことが多かったが、2失点目の場面ではシェプフがデミルバイに食いつき戻りきれていないスペースを使われてしまった。SBがあまり組み立てにコミットしないので、ハイプレスをかける場面でシェプフが飛び出していくのは自然だし、一度だけだが奪い切ってフィニッシュまで持ち込んだシーンもあった。しかしいなされた場合やシェプフのラインを越えられた際にどこまで戻るのかはファジーで、この失点シーンのように簡単に中央を突破される回数は少なくなかった。これは先述の、プリートルがヴィルツを追走するシーンが多発するきっかけの1つでもあった。奥川が絞って中央のスペースをケアすることも多かったが、そうすると今度は十分なスペースを得たフリンポンを使われてしまう。442でのブロック形成をしてもアランギスとデミルバイにとっては大きな障害とならずパスを通されてしまうので、いずれにしても攻撃を止められないという厳しい状況に追い込まれてしまった。

2失点目のあとはプリートルがCBの間に落ちて組み立てに加わり、それに対してレバークーゼンのSHは出てこないためボールを落ち着かせる時間は得たが、右サイドをオーバーラップしたブルンナーのクロスくらいしか攻め手はなかった。

 

ポジション変更も効果なく後半10分でジ・エンド

とにかく点を取らなければならない後半は、前半前がかりになる中でファジーだったシェプフを一列上げ、ハックを左サイドに回し4141でセット。このチェンジにレバークーゼンが慣れるまでの間に、オルテガのフィードから右サイドでクロース、ブルンナーが立て続けにレシーブしチャンスに繋げた。しかし非保持においてはこの変更は実らず、結局はライン間に簡単にボールを送り込まれ続けることとなった。57分、セカンドボールが落ち着かない中でショートカウンターを許し、フリンポンのクロスをシックが頭で合わせて0-3。これで30分以上を残しながら試合は完全に終わってしまった。60分にクンツェ、クリューガーを入れてとにかく点を奪いに行ったが、前からボールを取りに行ってもレバークーゼンのDF陣を困らせることはできず、どこかで引っ掛けても肝心の攻撃がまともに合わず時間だけが流れて行ってしまった。終了間際にはクリューガーのアンラッキーなファールでPKを与えてしまい、デミルバイに決められ0-4。厳しい敗戦となってしまった。

 

中断でリスタートか

今季ここまでは敗れても何かしら試行錯誤の痕や、ポジティブな材料を残せていたが、この試合はいいところなし。質で圧倒され、有意義なトライも見当たらず、レバークーゼンの方が3人くらい多くピッチに立っているのではないかと錯覚させるような試合だった。強いてポジティブな要素をあげるなら病気で出遅れていたエジミウソン・フェルナンデスが加入後初出場を果たしたことくらいだろうか。15分の出場時間で、展開としても試合の趨勢が決まっていたためまさに試運転といったところであったが、前を向いてボールを持った際には落ち着きと視野の広さを覗かせた。代表ウィークでの中断明けにはヴァシリアディスもついに復帰することが見込まれるため、今一度仕切り直してまずは初勝利を目指したい。