21/22 ブンデスリーガ 7節 ビーレフェルトvsレバークーゼン


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6試合を終えて4分2敗、大崩れはしていないものの白星が遠いビーレフェルト。10月の代表ウィーク前最後の一戦は、本拠地シューコ・アレーナに2位レバークーゼンを迎える。今季ヤングボーイズからジェラルド・セオアネを監督に招聘したレバークーゼンは、現在公式戦4連勝中。ブンデスリーガでは4勝1分1敗で2位につけている。木曜日にELを戦っているため日曜開催。直近のリーグ戦からは3人しかメンバーを入れ替えず、アウェイでセルティックに0−4で勝利している。今季は一見消耗の激しいように見えるハイプレスを用いているが、セオアネ監督は過密日程を歓迎するコメントを会見で残している。昨季のビーレフェルトレバークーゼンの対戦は1勝1敗。どちらのゲームもアウェイチームが1−2で勝利している。バイ・アレーナでの対戦では、堂安律、奥川雅也と日本人2人が得点しフランク・クラマー体制初勝利を挙げたため、よく記憶している人も多いだろう。1部での通算対戦成績はビーレフェルトから見て9勝9分10敗と、意外にもほぼ互角である。

 

ビーレフェルトのスタメンは前節から2人を変更。

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、チボラ、シェプフ、プリートル、ヴィマー、奥川、ハック、クロース。

前節は怪我の影響で出場時間が限定されていたヴィマーがラスメに代わりスタメンに復帰。また左SBには万全でないラウルセンに代わり、腰の怪我から復帰したチボラがブンデスリーガで初めて先発した。

 

レバークーゼンは、

フラデツキー、ター、コスヌ、フリンポン、インカピエ、アランギス、デミルバイ、アドリ、ヴィルツ、ディアビ、シック。

ミッドウィークにアウェイでのELがあったが、メンバーの入れ替えは最小限。特にCBのターと右SBのフリンポンは、リーグとELの全ての試合にフル出場している。左SBはバッカーが外れ、インカピエがブンデスリーガで初めてスタメンに名を連ねた。

 

失敗したゲームの入り

4節では奥川、5節ではヴィマーがクロースの相方として2トップの一角に入っていたが、この試合ではヴィマーが右で奥川が左サイド。そしてこれまで左サイドで守備に奔走していたハックがクロースと並んでFWに入った。最適な組み合わせと配置の試行錯誤が続いているのか、ヴィマーの復帰に伴って少し変えてきた格好だが、これは得策とは言えなかった。ラスメも含めここまでサイドハーフとしての起用があった4選手の中で、サイドでの守備タスクを最も堅実にこなせるのがハック。特にレバークーゼンは今季右SBフリンポンの攻撃参加が大きな武器となっているため、ここを抑えることは必須だったはずだが、なぜか逆にハックを外してしまった。そして当のハックは2トップの一角としては、プレッシング時もリトリート時もSHの時に見せているようなインテリジェンスを発揮してはくれなかった。両サイドの奥川とヴィマーに特に大きな問題があったわけではないが、レバークーゼン対策と思しき動きが見られたわけでもなかったので、少し不可解な変更であった。

前線の非保持時の機能不全は、序盤から試合の流れに影響を及ぼした。ホッフェンハイム戦のようなチャンスメイクを狙ったのかあるいは雨の影響か、特に立ち上がりのビーレフェルトはシンプルに前に蹴ってラインをあげることがほとんど。セカンドボールもあまり回収できず、奪っても単発な攻撃に終始したため、レバークーゼンがボールを持っている時間が長く感じられた。ただし主に2CBプラス間に落ちるアランギス、あるいはCB脇に落ちるデミルバイの3人か4人でボールを持つレバークーゼンに対し、ボールを奪いに行くのかそれとも引くのか、中途半端な状態が続いた。特にアランギスが落ちないような場面では、CBにも行けず、アランギスも抑えられず、簡単に通されては前を向かれるシーンが目立った。2トップでの牽制が機能しない以上はCHもポジショニングが定まらず、ヴィルツやアドリにライン間をかなり自由に使われることになってしまった。ピッチ中央でボールを運ぶヴィルツを、プリートルが後ろから追走するという本来ならトランジッションで大きなエラーが起きた際にしか起こり得ないようなシチュエーションが何度も繰り返されるのは見ていて辛いものがあった。

実際にレバークーゼンに先制を許したシーンはカウンターから。ヴィマーのかなり無謀なシュートがDFにあたるとこぼれ球をアドリに拾われ、プリートルを食いつかせてヴィルツにスルーパス。側から見る分にはアドリに対してプリートルよりもチボラが対応し、プリートルがダウンした方がよかったように思うが、この辺りのすり合わせはまだ時間を要するかもしれない。折り返しを受けたシックのトラップミスが、ブルンナーに当たってディアビの前方に零れるという不運もあったが、ペースを握れない中でのもったいない失点であった。

 

幻の同点ゴール、即座に追加点

失点直後、ロングスローからヴィマーが相手の意表をつくロングヒールシュートを奪うが、オフサイドポジションでシュートをスルーした奥川が明らかにフラデツキーに影響を与えていたためOFRの末ノーゴールに。束の間の歓喜が打ち消されると更なる発奮の起こる前に2失点目。ヴィルツがアランギスとのワンツーで中央を割ると、スルーパスにシックが抜け出し簡単にゴール。2トップがCBまでプレスに行った際、シェプフがそれに追随して高い位置までデミルバイもしくはアランギスを捕まえに行くことが多かったが、2失点目の場面ではシェプフがデミルバイに食いつき戻りきれていないスペースを使われてしまった。SBがあまり組み立てにコミットしないので、ハイプレスをかける場面でシェプフが飛び出していくのは自然だし、一度だけだが奪い切ってフィニッシュまで持ち込んだシーンもあった。しかしいなされた場合やシェプフのラインを越えられた際にどこまで戻るのかはファジーで、この失点シーンのように簡単に中央を突破される回数は少なくなかった。これは先述の、プリートルがヴィルツを追走するシーンが多発するきっかけの1つでもあった。奥川が絞って中央のスペースをケアすることも多かったが、そうすると今度は十分なスペースを得たフリンポンを使われてしまう。442でのブロック形成をしてもアランギスとデミルバイにとっては大きな障害とならずパスを通されてしまうので、いずれにしても攻撃を止められないという厳しい状況に追い込まれてしまった。

2失点目のあとはプリートルがCBの間に落ちて組み立てに加わり、それに対してレバークーゼンのSHは出てこないためボールを落ち着かせる時間は得たが、右サイドをオーバーラップしたブルンナーのクロスくらいしか攻め手はなかった。

 

ポジション変更も効果なく後半10分でジ・エンド

とにかく点を取らなければならない後半は、前半前がかりになる中でファジーだったシェプフを一列上げ、ハックを左サイドに回し4141でセット。このチェンジにレバークーゼンが慣れるまでの間に、オルテガのフィードから右サイドでクロース、ブルンナーが立て続けにレシーブしチャンスに繋げた。しかし非保持においてはこの変更は実らず、結局はライン間に簡単にボールを送り込まれ続けることとなった。57分、セカンドボールが落ち着かない中でショートカウンターを許し、フリンポンのクロスをシックが頭で合わせて0-3。これで30分以上を残しながら試合は完全に終わってしまった。60分にクンツェ、クリューガーを入れてとにかく点を奪いに行ったが、前からボールを取りに行ってもレバークーゼンのDF陣を困らせることはできず、どこかで引っ掛けても肝心の攻撃がまともに合わず時間だけが流れて行ってしまった。終了間際にはクリューガーのアンラッキーなファールでPKを与えてしまい、デミルバイに決められ0-4。厳しい敗戦となってしまった。

 

中断でリスタートか

今季ここまでは敗れても何かしら試行錯誤の痕や、ポジティブな材料を残せていたが、この試合はいいところなし。質で圧倒され、有意義なトライも見当たらず、レバークーゼンの方が3人くらい多くピッチに立っているのではないかと錯覚させるような試合だった。強いてポジティブな要素をあげるなら病気で出遅れていたエジミウソン・フェルナンデスが加入後初出場を果たしたことくらいだろうか。15分の出場時間で、展開としても試合の趨勢が決まっていたためまさに試運転といったところであったが、前を向いてボールを持った際には落ち着きと視野の広さを覗かせた。代表ウィークでの中断明けにはヴァシリアディスもついに復帰することが見込まれるため、今一度仕切り直してまずは初勝利を目指したい。