ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 11節

10月の代表ウィークを挟み、2週間ぶりの開催となった11節。

今節はなんといってもこの人でしょう!


www.youtube.com

 

 

 

クルブ・ブルッヘ 2-0 コルトレイク

9月はCLで躍進したものの中断前のリーグ戦は連続ドローで3位に転落してしまったクルブ。この試合ではフォルマーがスタメンに復帰し、マウアサが左SBで出場。ヘンドリーとンソキに押され気味のCBメヘレも久しぶりに先発出場を果たした。

コルトレイクは3日前の日本戦にフル出場していたCBのセインズベリーがスタメン。433でサイドを広く使って組み立て中央にスペースを作り、そこからヴァンデンドリーシェやパラベルサが配球してゴール前にボールを運び、非保持では中盤のフィクセルスがトップに上がり442でのハイプレスで序盤はクルブを圧倒した。プレーが切れると監督が「サイドを変えて、縦に速く」というようなジェスチャーをよく送っていたのが印象的だった。

立ち上がりは少し苦労したクルブだったが、徐々にサイドでWGとSBのタンデムからチャンスを作れるようになってくる。右サイドのソワーとマタはコンビを組み始めて1ヶ月にしてすでに相当な意思疎通が見られ、さらに攻撃ではフリーダムに振る舞う左サイドのラングもやってくることでボリュームのある崩しが可能になり、左サイドでは新加入のマウアサが機を見たインナーラップでラングを援護した。ただクルブの得点シーンはいずれもシンプルな展開。30分すぎの1点目はヴァナーケンがゴールキックを引き出し、裏に蹴ったボールに抜け出したソワーをセインズベリーが倒してしまい得たFKを、フォルマーが直接きめたもの。フォルマーはこれでリーグ戦では通算9本目となる直接FK弾。さらに前半アディショナルタイムにも、ミニョレのキックからソワー→ラングと繋がり最後は折り返しをまたしてもフォルマーが決めて加点。クルブが柔軟さと地力を見せつけるような2点だった。

それまで丁寧にスペースを作ってからスピードアップする形で攻撃していたコルトレイクだが、先制を許して以降は前線への長いボールが増えて単調になってしまう。セレマニ、ゲイェ、モレノの3トップは強力だが、上手く力を発揮させるようなボール供給ができなくなっていた。一方のクルブはこうしたコルトレイクの変化と特に後半は前がかりになった姿勢を見逃さず、DFライン裏へのボールやサイドチェンジ、WGの背後のスペースをSBに使わせるといった対応を見せ、磐石な試合運び。終盤には万雷の拍手に包まれながらイスキエルドが復帰後初出場を果たし、2-0で試合を締めた。

開幕からここまで好調をキープしてきたコルトレイクだが、久々の敗戦で10位に後退。一方のクルブは、連続ドローを止めて3試合ぶり勝利。これまでは勝っても不安定さをのぞかせるような試合が多かったが、この日の柔軟で磐石な内容は、リーグ戦では今季ベストゲームだったと言えるだろう。アントワープとオイペンがともに敗れたこともあり、首位USGと勝ち点で並び2位に。ここからアントワープやヘンクとのビッグマッチが残っているが、叩けば頭ひとつ抜けられるチャンスでもある。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

シント・トロイデン 2-2 アンデルレヒト

直近6試合では3勝2分け1敗と調子の上がってきているSTVV。このままいけばPO2出場権争いも現実的という位置につけている。鈴木優磨が怪我で離脱してしまい、この日は初めて原大智と林大地が2トップを組んだが、2人が攻撃の軸となり、チームは試合を通じて相手を大きく上回る25本のシュートを放つなど強豪アンデルレヒト相手にも十分戦うことができた。

カカーチェとバウアーの両WBが高い位置で幅をとってアンデルレヒトのSBを引きつけ、2トップの林と原、IHのブリュースが裏を狙っていくスタイルは効果的。ポゼッションは次第に追いつかれていったがシュートは許さず、ロングボールが増えると林と原はターゲットして、ポストプレーで存在感を放った。林と原、2人の間でのコンビネーションも良く、どちらかが競りあったボールをもう一方が拾って攻撃に繋げるシーンも多かった。

それだけにどちらもかなり厳しい判定でとられたPKでの2失点は痛かった。特に1点目は、後半も前半と変わらない勢いで攻め立てようという立ち上がりに、相手陣内でのロストから、テイシェイラが1人で2トップを見ないといけないような状況が一瞬誕生して裏のスペースを使われたので少しもったいなかった。

STVVの2ゴールはいずれもセットプレーの流れから、コナテとライストナーがそれぞれボレーで決めたもの。チャンスを数多く作っていたため流れの中からの得点があればよかったが、2点とも攻め続けてこじ開けたようなゴールだったと言えるだろう。

久々にスタメンの林と、2試合連続フル出場の原は”試運転”の期間を終えて本格的にチームの主力に。特にデビューから結果を残した林と違い原は苦労するかと思われたが、背負って受けるプレーもしっかりこなすなどSTVVに来てからもさらに成長した跡が窺える。ほかにもコイタやバロンゴといったライバルがいるが、リードしているのは林と原の2人。鈴木が不在の間に実績を積み上げ、競争力を高めていってほしい。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

シャルルロワ 2-0 ヘンク

クルブ戦で今季初白星を喫して以降調子を落としてしまったシャルルロワと、勝てば首位、という上位対決を相次いで落とし、ELも含めて悪い流れで代表ウィークに入ったヘンクの対決。双方にとって簡単ではない相手で、ここを取って調子を取り戻したいところ大事な一戦をモノにしたのはホームのシャルルロワ。今季のシャルルロワは非保持時に、意図的に1人に複数人を管理させる”無茶振り”をして、後ろのリスク管理をしつつ前から人数を合わせてプレッシングすることを可能にしている。この試合では433のヘンクに対し、WBの選手が最初はDFラインでヘンクのWG(ボンゴンダと伊東純也)をマークしつつ、自分のサイドのSBにボールが入ればその選手にアプローチ。空いてしまったWGは、3バックがしっかりスライドして埋めるというシステムで、ヘンクの攻撃を遮断。保持では、シャルルロワの中盤3人が逆三角形なのでヘンクの中盤3枚と噛み合っているが、森岡亮太が最前線から降りてくることで森岡、ゴリザデ、ゾルガンの誰かが必ずフリーになれることで円滑なポゼッションを実現。ヘンクは中盤の人数を増やそうにも、3トップの守備意識は希薄、DFラインはSBが攻撃性能に優れるシャルルロワの両WB(左:カイェンベ、右:チャチュア)にピン留めされ、降りる森岡にCBがついていけばFWのニコルソンへのロングボールが容赦無く飛んでくるため対応に苦慮した。こうした展開を思えば、プレッシングで伊東が奪い、決定機を決めきれなかったシーンは悔やまれる。

ヘンクもCHがサイドに流れてIHを釣りだすことで中央のスペースを空け、少しずつ前進の手立てを見出すが、全体の流れとしては優勢を保ちスコアレスで前半を終えたシャルルロワ。55分にセットプレーから先制。森岡の右CKをニコルソンがヘディングで合わせた。このホットラインでの得点は今季すでに4点目。

少しずつ押し込み時間を長くしていたヘンクは81分にオヌアチュがPKを失敗。セーブしたコフィが先にラインを出ていたとして一旦は蹴り直しになったが、その蹴り直しのPKをまたしてもコフィがセーブ。ヘンクはDFラインの枚数を削ってウグボを投入し、放り込みを始めるが機能せず、逆に背後に広大なスペースを残してしまうとカウンターからゴリザデのゴールでシャルルロワがリードを広げ、2-0で終了した。シャルルロワは4試合ぶりの勝利。ヘンクはリーグ戦直近4試合のうち3度目の敗戦。思わぬ苦戦を強いられてしまっている。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

ユニオン・サン・ジロワーズ 4-2 スラン

ともに前節は勝利を挙げた昇格組同士のゲーム。前半スランがジャロウとミカウタゼのゴールで2点を先行。さらにATにはUSGのアマニがレフェリーへの挑発的なジェスチャーで2枚目のイエローカードをもらい退場してしまう。とにかく点を取らなければならないUSGは後半頭から三笘薫を投入、左WBに入り、342のような形で得点を目指す。55分、三笘が左サイドをドリブルで突破しジュピラープロリーグでの初ゴールを奪うと、66分にはファンゼールのゴールで同点に。さらにその10分後三笘がファンゼールのパスから決めて逆転すると、終了間際にもカウンターから長距離を独走し3点目。三笘がハットトリックの大活躍でUSGを逆転勝利に導き、チームも首位に浮上した。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

オーステンデ 2-1 セルクル・ブルッヘ

3連敗中の17位セルクル・ブルッヘは、後半にカウンターからソマースのゴールで先制。しかしそれ以降はホーム、オーステンデの猛攻の時間に。75分、左サイドのクロスから、ゲイェがヘディングシュートを決め同点に。ゲイェはこれで4試合連続のゴールとなり、今季8得点目。終了間際にセットプレーからアマデが押し込み、オーステンデが土壇場で逆転勝利。敗れたセルクルは泥沼の4連敗で今季7敗目。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

ズルテ・ワレヘム 2-1 アントワープ

4試合勝利なしと苦しんでいたズルテは、この試合も先制を許す厳しい展開に。しかし後半ガノが3試合ぶりとなる今季6ゴール目を挙げ同点に追いつくと、その5分後にはクテサが決めて逆転に成功。1ヶ月半ぶりの勝利を上位のアントワープから逆転でもぎとった。アントワープは久々のスタメンとなったベンソンがカットインから豪快なシュートを突き刺したが痛恨の逆転負けで4位に後退。ポジション争いのライバル、ベンソンが活躍した一方三好康児は久々のベンチスタート。逆転を許した直後の69分から出場した。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

スタンダール・リエージュ 2-2 ルーヴェン

3連敗と苦しみ、監督交代に踏み切ったスタンダール。タプソバのゴールで先制すると、後半にはドラグシュのゴールで加点。あとは逃げ切るだけだったが、アディショナルタイムは10分。まず96分にルーヴェンがメルシエのミドルシュートで1点を返すと、99分にソリー・カバが移籍後初ゴールでまさかのドロー決着。新体制での初勝利が寸前でこぼれ落ちた。ルーヴェンはこれで今季7試合目の引き分け。あまり負けていないが、ほとんど勝てずポイントを伸ばせていないが、アウェイでATに2点差を追いついてのドローを上昇の足掛かりにできるだろうか。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

ベールスホット 0-1 メヘレン

前節ようやく連敗を7で止めたベールスホットだが、前半ムラブティにゴールを許すと、後半の猛攻も実らず敗戦。依然唯一の勝ちなしチームとなってしまっている。一方のメヘレンは、アンデルレヒト戦のショッキングな大敗以降は完全に持ち直して4連勝。順位も6位にまで上がってきた。

 

ハイライト


www.youtube.com

 

ヘント 2-0 オイペン

なかなか波に乗れないヘントだが、首位オイペンを圧倒し2-0で勝利。今季のヘントはやたら首位のチームには強い。クリーンシートはこれが2試合目だが、失点数は13で、これは11失点のUSGに次いでリーグで2番目に少ない数字。ここで連勝できると、上位争いにもやっと参戦できそうな位置まできた。オイペンは次節、入れ替わるように首位に浮上したUSGとの直接対決。1位集団に踏みとどまれるか分水嶺が待っている。

 

ハイライト


www.youtube.com