21/22 ブンデスリーガ 1節 ビーレフェルトvsフライブルク

昨季は久しぶりの1部昇格で、大方降格候補の筆頭と目されながら15位でストレートに残留を達成したビーレフェルト。前評判は昨季より少しはマシになった程度だが、今季は残留を勝ち取れるだろうか。

 

開幕戦はホームでフライブルクと。昨季の同一カードではお互いにホームで勝利しての1勝1敗。ヨーロッパのリーグの開幕戦というものはどのチームもまだスカッドが流動的な段階なので、「シーズンを占う一戦」と位置付けることはしづらいが、2016年に1部に復帰して以降のフライブルクはまさに中位(7位→15位→13位→8位→10位)というチームで、今季ビーレフェルトがどの程度1部で戦えるチームなのかを見る上では参考にしやすい相手とも言える。

 

ビーレフェルトのスターティングメンバーは

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、ラウルセン、プリートル、シェプフ、クンツェ、奥川、クロース、ラスム。

DFラインは概ね昨季と同じ面々。左SBは終盤ルコキが定着したが、マインツに移籍してしまったのでラウルセンが返り咲き。アンカーには今季からキャプテンに就任したプリートル。その左右にクンツェと、シャルケから新加入のシェプフが入り、ラスムとクロースの2トップの下に奥川が入る4-3-1-2でスタートした。

 

 

前半

 

フライブルクは3-4-3。3バックの3人を大きく動かさず、形を保ったままボールを回すのに対してビーレフェルトは前線の3枚でプレッシャーをかけるが、3人に対して3人で行っている割には簡単に間を通されていることが少し気になった。ただし前線まで通す縦パスには、CBのニルソンとピーパーが広い守備範囲で対応。この鋭い出足はアンカーのプリートルが半ばDFラインに吸収され、CBが飛び出してもスペースを埋められていることで成り立った。フライブルクがサイドから前進しようにも、WBに対してはSBのラウルセン、ブルンナーがしっかりと出ていくので、前の緩さの割に大崩れしなかったのにはこのような背景があった。フライブルクもさほど手数や人数をかけてビーレフェルトの守備を動かしてくることもなく、前半は崩されて危険なシーンを迎えるということはなかった。

 

ビーレフェルトは保持では、両CBが広く開き、オルテガ、プリートルと菱形を形成してポゼッション。フライブルクは特段激しくプレッシングに来ていたわけではないが、縦のルートはしっかり牽制されており、前進の手段はもっぱらオルテガからのフィード。ラウルセンやブルンナーが少し降りてきてもグリフォ、チョン・ウヨンの守備範囲内であり、無理をしてSBに通すようなこともあまり出来ず。前半ビーレフェルトに大きなチャンスは2つ。1つはオルテガのFKにクロースが抜け出してボレー、もう1つはラウルセンがクロースに放り込み、拾った奥川がキーパーとの1対1を迎えたシーンである。クロースへフィードを当て、ラスムや奥川、シェプフが拾いに行くのがメインルートで、その前の段階で無理をすることはなかったが、ほとんどオルテガに預けるだけになっていたピーパーの消極性がやや気がかりである。

 

 

後半

 

ロングフィード攻勢は後半立ち上がりに猛威を振るう。キックオフからニルソンのフィードで陣地を奪うと、さらに回収してオルテガがまたフィード、というループが2分間続く。そして、そのオルテガからのボールをクロースが流すとフライブルクのDFが処理を誤り、かっさらった奥川にまたも決定機。これは決め切りたいシーンだった。これを皮切りに後半もクロース狙いの長いボールが続く。

 

非保持では、プリートルが下がり両SBが前に出て出来上がる3-4-3がより強く出るようになる。後半のフライブルクの狙いは左サイド、すなわちビーレフェルトの右サイド。ヘーラーが流れてピーパーを釣り出し、そこに人数をかけてサイドを攻略しクロスを供給。ビーレフェルトはクロス対応に若干の怪しさを覗かせたが、基本的には人数が足りていたことと、オルテガのセーブに助けられ失点には至らなかった。フライブルクにボールを持たれて押し込まれると、プリートルが後ろに吸収されている分サイドが薄くなり、そこを活用されるようになってしまった。

 

また、守備で不安を感じたのは73分のシーン。3バック中央のハインツから、グリフォが左のハーフスペースをハーフウェイラインまで降りてきてパスを受け、左HVのシュロッターベックにレイオフ。ピーパーは降りるグリフォを追いかけていったが潰しきれず、空いたスペースをシュロッターベックに運ばれフィニッシュまで持ち込まれる。最後はシュートの精度が低くことなきを得たが、「前の緩さ」に後ろの出足が間に合わず、簡単に崩される格好となってしまった。

 

その後はお互い決定的なシーンはなく終了。ビーレフェルトは64分足を痛めた奥川に代わり新加入のハックが出場。76分にニルソン→ファン・デル・ホールン、ラウルセン→デ・メディーナ、ラスム→クリューガー、89分にクロース→セラ。5人の新加入選手が本拠地アルムでのデビューを飾った一方で、ファン・デル・ホールンはこれが最後の出場となった。

 

 

総括

 

奥川がどちらかのチャンスを決めていれば……とも言いたくなるが、フライブルク相手に互角に戦い無失点でのドローはスタートとして悪くない。守備面では修正すべき課題が見つかったが、これはより攻撃力を備えた相手との対戦が始まる前にある程度改善の目処をつけなければならないだろう。8月は残り2試合を戦い、市場がクローズしスカッドが固まった上で代表ウィークでの中断がある。再開後にギアを上げていくためにここからの4週間を大事にしたい。