21/22 ブンデスリーガ 2節 グロイター・フュルトvsビーレフェルト

2節はアウェイで12/13シーズン以来2度目のブンデスリーガ挑戦となる、昇格組グロイター・フュルトと対戦。リーグ戦では過去に24度の対戦があり、ビーレフェルトの10勝7分7敗と若干勝ち越しているが、それらは全て2部での出来事。1部では初めての対戦である。12/13シーズンではホームで勝利を挙げられていないフュルトにとっては、ブンデスリーガでの記念すべき”ホーム初勝利”を目指した試合となった。

 

ビーレフェルトのスターティングメンバーは開幕戦と同様、

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、ラウルセン、プリートル、シェプフ、クンツェ、奥川、クロース、ラスム。

 

フュルト

ブルヒャート、ホーフマ、バウアー、イッター、マイヤーヘーファー、サルペイ、ゼギン、グリーン、ニールセン、アビアマ、フルゴタ。

ビーレフェルトと酷似した4-3-1-2なので、ビルドアップでサイドバックをどう活かすかが両チームにとって1つのポイントとなる。

昨季までビーレフェルトに3シーズン在籍していたゾイファートはベンチに控えているが、残念ながら出番はなかった。

 

 

前半

 

フライブルク戦では試合を通じてポゼッションに大きな差はなかったが、このフュルト戦では相手にボールを持たれる時間が前半から長く続く。フュルトのCB、ホーフマとバウアーをラスムとクロースがチェックし、アンカーのサルペイを奥川がケアする形となったが、この日もプレッシングは的を絞れず、中盤へのルートも牽制しきれず、楽にボールを持たれる展開が続いた。特にビーレフェルトにとって厄介だったのは、CB-IHの縦の出し入れからサイドを変えられ、フリーでSBに渡されるパターン。フュルトのSBに対してビーレフェルトのSBは大体ハーフウェーライン+10m程度からアプローチに行き、相手のバックパスをトリガーに全体がハイプレスに行くようなシーンでは敵陣ペナルティーエリア角付近まで出ていったが、逆サイドでパス交換を行なってからのサイドチェンジには簡単に出ていけない。先制点を奪った直後のシーンでは、サイドチェンジではないがホーフマから左SBイッターへのパスにブルンナーが飛び出して食いつくもかわされて運ばれ、ニールセンに裏を取られて大きなピンチを迎える。こうして簡単にハーフスペース〜サイドでスピードアップされるシチュエーションは、後半さらに大きな苦悩をもたらすことになる。

 

苦しい展開が続き、シュートを2本、しかもそのうちの1本はこぼれ球を強引に打ち大きく外れたクンツェのミドル、しか放てなかったビーレフェルトだが、前半終了間際にそのもう1本のシュートが決まリードして前半を折り返す。オルテガのフィードをラスムが繋ぎクロースが収めると、クンツェが左SBラウルセンにサイドチェンジのフィードを送り、久しぶりに全体を押し上げて敵陣で保持する形を作る。サイドを広く使った展開から、今度は右サイドのブルンナーのアーリークロスを遅れてファーに入ってきたクロースが頭で合わせてネットを揺らす。高さのあるラスムがCBを引き連れて中に入ったおかげで、空中戦最強のクロースがほぼフリーで合わせることができた。オルテガのフィードに始まり、2トップの高さ、強さを最大限活かすまさにビーレフェルトらしい得点が21/22シーズンのファーストゴールになった。

 

 

後半

 

後半立ち上がりはオルテガゴールキックを契機にまず押し込んだビーレフェルトだが、すぐに失点を喫してしまう。相手のビルドアップからサイドを簡単に前進されると、サイドに流れたフルゴタの内側をグリーンに突かれ、ゴール前に侵入される。アビアマのシュートはポストに当たるが、その跳ね返りを自ら拾って上げたクロスがプリートルの腕にあたりPKを献上、フルゴタに決められて追いつかれる。前半から2トップの一角フルゴタは左サイドに流れてロングボールを引き出す動きを見せていたが、特にブルンナーが前に食いついている際にピーパーを釣り出し、ニールセンにフリーで受けさせるという形が以降目立つようになる。前からのプレッシングも牽制がさらに緩くなり、簡単に通されてしまうのでクンツェやシェプフがやむをえずファールで止めるシーンが目立った。もちろん守備が完全に機能停止していたというわけではなく、56分には奥川がサルペイを潰し、シェプフがゼギンから奪ってラスムに渡し決定機という場面もあったが、これはバーに阻まれる。

 

問題のシーンは10分後。足を痛めたブルンナーに代わって入ったデ・メディーナが相手最終ラインまでプレスに行くが、間に合わずニールセンに通される。これをプリートルが潰せず、レイオフを受けたグリーンに対してもクンツェが間に合わず、シェプフがファールで止め、2枚目のイエローカードを受けてビーレフェルトは10人で残り20分戦うことを余儀なくされる。デ・メディーナは交代で入ったばかりでフレッシュな状態だったが、全体としてボールの奪いどころや誘導先が曖昧で、プレッシングも機能していない状況でSBが相手のSBに対して敵陣のペナルティーエリアの高さまで出ていき続けるのはさすがに無理がある。シェプフは1枚目のカードこそ相手のリスタートを無意味に遅らせて受けた軽率なものであったが、チーム全体の機能不全のツケを払い退場することになってしまった。10人になってからはフュルトの攻撃を受け続ける時間が続き、後半だけで15本のシュートを打たれたが、逆転は許さず開幕から2戦連続のドローで試合を終えた。

 

 

総括

 

残留が最大の目標であることを踏まえると、昇格組のフュルトは勝ち点3を奪いたい相手ではあったが、試合内容を鑑みるとドローは妥当ないし御の字と言える結果だ。劣勢の中で奪ったリードは大事にしたかったが、前節からの守備の課題がより深刻になって露見し、失点とシェプフの退場を誘発してしまった。退場というのは、大抵の場合チームの構造上の欠陥に惹起されるものだと改めて感じた次第である。ただプレッシングの不味さを除けば思ったよりもしっかり戦えている印象もあるので、守備組織の整備において早めに目処が立てば、昨季よりも安定した戦いができるのではないだろうか。