21/22 ブンデスリーガ 5節 ビーレフェルトvsホッフェンハイム

2021年9月18日

21/22 ブンデスリーガ 5節

ビーレフェルト 0-0 ホッフェンハイム

 

今節はホッフェンハイムとのホームゲーム。ホッフェンハイムは開幕戦こそ大勝したものの直近2試合はドルトムントマインツに連敗。かつてホッフェンハイムのセカンドチームを率いていたビーレフェルトの監督フランク・クラマーと、ホッフェンハイムでプロデビューを果たしているロビン・ハックにとっては古巣対決となる。昨季の対戦はアウェイで0-0、ホームで1-1とどちらもドロー。過去4度の対戦でビーレフェルトは勝利したことがなく、09年5月のホームでの対戦では現在湘南ベルマーレに所属するウェリントンにゴールを決められ0-2で敗れている。

 

ビーレフェルトのスターティングメンバーは、

オルテガ、ピーパー、ニルソン、ブルンナー、ラウルセン、プリートル、シェプフ、奥川、ハック、ヴィマー、クロース。

 

前節怪我で欠場したCBピーパーがスタメンに復帰。それ以外はグラードバッハ戦と同じメンバー。しばらくは442をベースに戦っていくと思われる。なお今節は奥川雅也とヴィマーのポジションが前節と入れ替わり、右SHに奥川、最前線でクロースの相方にヴィマーが入る格好となった。

 

一方のホッフェンハイムは、

バウマン、フォクト、リチャーズ、カデジャーベク、ラウム、グリリッチュ、サマセク、ブルン=ラーセン、クラマリッチ、バウムガルトナー、ベブー。

 

前節からは5人を入れ替えている。ベースは4231だが、監督のセバスティアン・へーネスは複数の異なるシステムを使い分け、試合中でも戦い方に変化をつけてくる印象がある。グリリッチュがスタメンに復帰しているので、組み立ての形は前節と違ってくるだろう。

 

ここまでのビーレフェルトはまず非保持での守備組織の安定が一つのテーマとなっているので、そうしたホッフェンハイムの変化にどこまで対応できるかという点は注目したいポイントであったが、この試合のハイライトは序盤の決定機ラッシュ。まずは2分、左サイド中央くらいのスローインで、サイドに流れて受けるヴィマーと入れ替わるようにハックが中央へ。フリックしたボールを受けドリブルで切れ込むと、DFの視界から消えるように右外へランニングしたクロースへループパス。クロースの折り返しに飛び込んだヴィマーはゴールの目の前で触るだけだったが、空振りしてしまう。まずは一つ、ヴィマーとハックのスタートポジションを近くしたことがいきなりチャンスにつながるというシーンだった。9分には、オルテガのフィードをクロースが頭で流し、拾ったヴィマーが左から走ってきたハックへ。狙い澄ましたグラウンドのシュートは、ポストの内側にあたりゴールならず。13分にはまたもオルテガのフィードをクロースが競りヴィマーが拾って、今度はクロースが絶好のシュートチャンスを迎えるがバウマンに阻まれてしまう。フランクフルト戦、グラードバッハ戦ではやや機会の減っていた、オルテガのフィードから立て続けにゴールに迫った。残りの80分弱でこれ以上の決定機を創出することはできなかったので、結果的にはここで仕留めきれなかったことが悔やまれた。

 

非保持においては、この試合もラインを高く保ってプレッシングに打って出たが、ライン間を自由に動くクラマリッチを警戒したかCHのプリートル、シェプフは自重気味。ホッフェンハイムのDFラインにボールがあるときは2人ともホッフェンハイムのCH、サマセクとグリリッチュに出ていける距離を保つが、実際にボールが入ると奥川が絞ってケアし、CHのどちらか1人(主にプリートル)は下がってDFラインの前をプロテクトできるポジションを取った。前節グラードバッハ戦では右SHヴィマーの守備負担をクロースがカバーすることで前進を食い止めていたが、この試合では2試合ぶりに右SHに入った奥川のポジショニングが光った。ファーサイドのSHが絞ってCHをケアする形は、前半半ばくらいから左右両サイドで行われるようになる。25分くらいまでは上手く前進を食い止めていたビーレフェルトだが、徐々にホッフェンハイムが工夫を凝らしてくる。バックラインではラウムが下がって中央でフォクトが中盤に出る、右SBのカデジャーベクを押し上げて3バック化するなどの動きで、プレッシングの基準を迷わせる。前方では中⇄外の移動を増やして、CBを外に釣り出そうという狙いが出てくる。これらのホッフェンハイムの動きは効いていて、前半は9本のシュートを放ったが、ビーレフェルト側から見てあまりやられた印象がないのは、ほとんどDFラインの背後を取られてないからであろう。1トップのベブーはどちらかというとサイドに流れて足下でボールを触りたいように見え、途中から何度か裏に抜けようという仕草は見せたものの出し手と意図の合うタイミングがなかった。唯一危険だったシーンは、右サイドからグリリッチュがファーで走ってくるカデジャーベクへサイドチェンジ。頭での折り返しをベブーがフリーでボレーのチャンスを得たが、これはピーパーが決死のブロックで防いだ。

 

後半はボールを握られる時間こそ伸びたものの、大きく崩されるようなシーンはなし。唯一嫌な運ばれ方をしたのは、グリリッチュが左CBの脇に降りて、フリーになった左SBのラウムに持って行かれた場面。グリリッチュの降りたり降りなかったりというポジショニングは、奥川を困らせていた。ここは奥川個人というより、CHやFWとのマークの受け渡しやそれぞれが管理するエリアの整理が、解決策となるだろう。何はともあれ、この日は非保持に関してSHとしての奥川は十分及第点。チームとしても、保持のバリエーションを持ち、また個人の能力での打開もできるホッフェンハイム相手に90分間守り通すことができたことは自信として良いだろう。

 

反面課題が残るのは5試合で3得点の攻撃か。この試合ではオルテガのフィードが火を吹いていたものの、直近2試合で見せていたようなショートカウンターでのチャンスはなし。いい守備ができるようになっているだけに、もう一段レベルをあげて攻撃に繋げられるようにしたいところだ。保持では、現状オルテガのフィード以外に機能している前進のルートは、ラウルセンが大外で上がり、ハックが内側を降りてきてどちらかにニルソンが当てる形くらい。オフにU21EUROとオリンピックを戦い疲れの見えていたピーパーは、怪我で前節を休んだことがいいリフレッシュになったかビルドアップでの消極性がなくなり攻守両面で今季一番のパフォーマンスではあったが、チーム全体としてややオルテガのフィードに頼りすぎていることが気になる。オルテガは組み立てにも十分参加できるほどの足下の技術を持っているが、現状はビルドアップにオルテガを組み込めておらず、ロングフィードの砲台か、詰まったときに一旦預ける場所というような役割に留まってしまっている。オルテガのフィードは脅威になっているが、困ったからとりあえずオルテガに下げるというようなケースが増えると、大抵は相手のプレッシングがキーパーにまで来てしまい、少しパスがズレたり緩くなったりしただけで蹴り出す以外の選択肢がなくなってしまう。せっかくの武器を有効に活用するためにも、ビルドアップの整備に着手してはどうかと思う。

 

武器を有効に使うという観点からいくと、気になるのは途中出場が続くラスム。今季ブンデスリーガでの最高速度を記録するなどリーグ屈指のスピードを持っているが、そのスピードを活かした攻撃を出来たシーンがこれまで5試合で思い浮かばない。同様にセラやこの日は出番がなかったクリューガーも、まだ良さを出し切れてはいない。前線のメンバーは奥川とクロースを除き全員が新加入選手なためまだ難しい部分もあったのかもしれないが、そろそろ新たな攻撃のカードを手にしたいところだ。

 

終盤には、アンドラーデがSBとしてビーレフェルトデビュー。クラマー監督は試合前の会見でアンドラーデについて、もう少し適応のための時間を与えたいとし出場が不透明であったピーパーの代役としてのCBでの出場の可能性を否定していたが、途中出場のチボーラが腰の打撲で交代を余儀なくされたために左SBでの緊急出場となった。短い時間で何度も積極的なオーバーラップを見せたが、クロスの精度が低くフィニッシュに結びつけられなかった。SBも対応可能なCBであるが、ラウルセンとチボーラが健在なうちはSBとして起用されることはあまりなさそうである。

 

 

内容面ではそれなりに充実した試合が続いているが、依然未勝利。10月のインターナショナルブレイクまで、残すはウニオン、レバークーゼンとの対戦。簡単な相手ではないが、そろそろ勝ち点を積み上げたい。