ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 8節 【ベルギーリーグ全部見るマン?】

こんにちは。今回はベルギー1部、ジュピラー・プロ・リーグ8節の様子を、DAZNで配信された試合を中心に振り返ります。

今季はスーパーカップを皮切りに、DAZNがベルギーリーグの試合を毎節4試合程度配信してくれていて、その全てを見ているのでベルギーリーグ全部見るマンを名乗りたいところですが、DAZNで配信がない試合に関してはハイライトしか見ていないので、自称する資格があるのか微妙なところです。

 

なお、今回DAZNで中継があったのは

シャルルロワvsクルブ・ブルッヘ

シント・トロイデンvsヘンク

スタンダール・リエージュvsアンデルレヒト

の3試合です。

 

 

シャルルロワ 0-1 クルブ・ブルッヘ

3勝4分とドローが多いため勝ち点はあまり伸びていないが、7節終了時点で唯一無敗をキープするシャルルロワ。ここまでは比較的中位〜下位との対戦が多かったため、試金石となる試合。マダガスカル代表イライマハリトラは、アントワープへ去ったドゥソレイユの後を継いで新キャプテンに就任してから初めての出場となった。一方のクルブは前節オーステンデを破って首位に再浮上し、ミッドウィークのCLではパリSGと1−1のドロー。中3日での連戦が続いたので少しメンバーを入れ替え、新加入のムアッサ、復帰加入となったウェズレイがリーグ戦での初先発を果たした。

試合はクルブがボールを握りながら、シャルルロワが速い攻撃で応戦するという形で大体推移していくが、試合全体を通してよりポジティブな印象を残したのはシャルルロワの方。突破力、機動力に優れるザルーリ、カイェンベが、主に左サイドから何度もクルブの守備陣を突破。左サイドを崩すと、右のWBのチャチュアが必ずクロスに合わせに走ってくるのも印象的であった。好調の森岡亮太は特に出色のパフォーマンスで、攻撃では4本のキーパスを通してチャンスを演出し、セカンドボールの回収やデュエルの強さで、守備でも存在感を示した。意外に思う人もいるかもしれないが、1試合平均のタックル成功数は4.4回とリーグで最多の数字である。クルブ相手でも十分戦えることを示し、60分あたりまではより勝利への高い可能性を感じさせたシャルルロワだったが、ヘディングシュートを放った際に相手DFと頭同士で接触したニコルソンが交代してからややトーンダウンしてしまった。

クルブは2節の後半から6節までの間は3バックを採用し、最前線にはラングとデ・ケテラーレのダブル偽9番というようなスタイルで臨んでいた。433とした前節もデ・ケテラーレが3トップの中央にいたのでCFとしての役割は薄かったが、この日はより9番らしく振る舞えるウェズレイが中央に。IHのフォルマーが欠場していたこともあって、いつもの片方のサイドに何人かが寄って起点を作り、そこから斜めに裏を狙いに行くというメインの攻撃パターンは少なめ。代わりに、IHで起用されたデ・ケテラーレが前を向いてボールを運びチャンスメイクをする回数が増え、チーム自体がいつもとは違った雰囲気を纏っていた。ただし新加入3トップは、前節大車輪の活躍を見せたソワーも含めて不発で、ムアッサはハーフタイムでお役御免。56分にはウェズレイを下げて守備的なMFのバランタを投入し、デ・ケテラーレの偽9番再び。終盤に向かうにつれて徐々に押し込み始め、アディショナルタイムにデ・ケテラーレの決勝ゴールが生まれてクルブが勝利した。

昨季はシャルルロワのホームでATにシャルルロワがニコルソンのゴールで追いつきクルブのリーグ戦連勝が10でストップしたが、今季はクルブがAT弾でシャルルロワの無敗を打ち破る結果となった。敗れはしたものの試合内容を見ればシャルルロワにとってネガティブなものではなく、今後も上位争いを賑わせるのではないかと思う。連勝で首位をキープしたクルブは、移籍市場がクローズする直前に獲得した選手が多く、これからCLとの二足の草鞋をこなして行く中で最適な組み合わせを模索して行くことになるだろう。

 

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シント・トロイデン 1-2 ヘンク

シント・トロイデン(STVV)ホームでのリンブルフダービー。2連勝中のSTVVは前節と同じメンバー。アウェイでのヘンクは、3日前にELのラピド・ウィーン戦を戦っており、さらに3日後には延期になっていた5節のアントワープ戦を控えているため、大幅なメンバーの入れ替え。今季初出場のオイエンや、開幕戦以来の出場となるトマなど、近頃出番の少なかった選手たちがスターティングラインナップに名を連ねた。ユース出身組を除くとスタメンでは最古参になる伊東純也がキャプテンマークを巻いた。

試合は序盤からSTVVが集中した守備を見せ、特に素早い帰陣とCHへの厳しいチェックを前に、珍しい組み合わせとなっているヘンクは思うように前進できなかった。オイエンやトレゾールの単騎での突破は見られたが、新加入のCFウグボを含め、意図が合わないことが多いように見えた。安定した守備をベースに、STVVはサイドを使った攻撃からゴールに迫るようになると、前半AT、林大地が右サイド深い位置でボールを収めると、サポートに来た橋岡大樹がダイレクトでクロスを上げ、中で上手くマーカーを外した鈴木優磨のヘッダーで先制に成功する。試合を通じて対人守備で積極性と強さを発揮していた橋岡が、攻撃でも結果を残した。

後半も序盤は鈴木のヘディングシュートなど惜しいチャンスがあったが、ヘンクがペイントシル、ヘイネン、オヌアチュの3人を同時に投入し攻勢を強める。左サイドからカットインしたペイントシルのシュートで同点に追いつくと、その10分後にはヘイネンのクロスをファーで伊東が折り返し、オヌアチュがキープすると長い体躯を活かしたシュートで逆転に成功。直前のELでも決勝ゴールを生み出したコンビでのゴールで、ヘンクが逆転しそのまま1-2で勝利した。

ヘンクにとっては、普段出場の少ない選手たちがあまりアピールできなかったが、連戦のさなかでローテーションを回しつつアウェイでのダービーマッチに勝利できたので十分満足だろう。水曜日に行われるアントワープ戦に勝利すれば、首位に浮上する。キャプテンマークを巻いてフル出場し公式戦2試合連続で決勝点をお膳立てした伊東は、試合後ロッカールームで珍しく(?)かなりテンションの高い様子がクラブの公式インスタグラムでもアップされていた。STVVはここで連勝がストップ。72分に追いつかれるまではいい試合運びだったが、そこから傾いた流れを食い止める余力がなかった。移籍騒動のあった鈴木優磨は自身今季初のホームゲームでヘンクからゴールを奪ったことで、ファンからの信頼を取り戻せそうだ。林大地もデビュー以来チームに欠かせない存在になっている。終盤にはこのところメンバー入りするようになっていた伊藤達哉が初出場を果たし、左サイドでいいプレーを見せた。タイプが被る選手が少ないので、今後も少しずつ出場時間を伸ばしていけるのではないかと思う。

 

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スタンダール・リエージュ 0-1 アンデルレヒト

ともに前節は勝利して臨むベルギー版クラシコ。熱狂的なサポーターの後押しを受けて、久々にライバル相手の勝利を掴みたいスタンダールだったが、CBに入ったアル・ダキルが開始わずか6分で自らのトラップミスをきっかけにフェルスハーレンを倒し退場してしまう。今季は433でスタートすることが多いスタンダールだが、432で守ることになる。退場劇からのドタバタを突いたのが、アンデルレヒトスウェーデン代表オルソン。今季のアンデルレヒトは、保持の局面でCHのカレンがCBの右脇に降り、左利きのCBフートがやや左に開いて、もう1人のCBハーウッド・べリスを底、CHオルソンを頂点においた菱形でビルドアップを安定させることが多い。この試合では立ち上がりからいつもより早いタイミングでカレンが移動し菱形を形成していたが、アル・ダキルの退場をきっかけにカレンではなくオルソンが右に移動する。すると早速12分に、スライドの遅れと人数不足で空いたライン間のスペースでフェルスハーレンがオルソンからボールを引き出すと、反転してラファエロフに渡し、ラファエロフが個人技でスタンダール守備陣を翻弄してゴールを奪う。得点以降はカレンとオルソンがまたいつものポジションに戻ったため、臨機応変な奇襲と言えるようなムーブでアンデルレヒトが先制に成功する。

前節メヘレン戦のようなゴールラッシュになるかと思われたが、その後は人数有利をアンデルレヒトがあまり活用できず、テンポの上がらないパス回しの間にスタンダールのFWが守備に戻ってしまって攻めあぐねる展開が続いた。SBのセルヒオ・ゴメスとムリージョの左右を一時的に入れ替えるといった工夫も見られたが、これも特に効果はなし。後半に入ると、ティフォージの後押しを受けたスタンダールに攻め込まれる回数も増えてきてしまう。スタンダールのCHラスカンは、CBの補充のために13分で退いたツィミロットの分まで、まるで2人いるかのような働きを見せた。同点までもうひと押しというところまでは迫ったスタンダールだったが、残り10分で途中出場のファイも退場処分を受けてしまい万事休す。クラシコの舞台を装飾するに相応しいスタジアムの特別な雰囲気とは裏腹に、ピッチ上の人数が減ってしまって寂しい最後となってしまった。大勝したメヘレン戦に引き続き内容にはやや不満が残るものの、アンデルレヒトクラシコにも勝利し連勝。ミッドウィークに延期分のヘント戦があり、その後はオーステンデ、クルブとの対戦が待っている。10月の代表ウィークまでの3試合で、今のアンデルレヒトの現在地がはっきりしてくるのではないだろうか。

 

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セルクル・ブルッヘ 1-2 オイペン

開幕からの好調が途切れてしまっていたオイペンはここで連敗ストップ。上位に踏みとどまった。先制点を奪ったカイェンベ、勝ち越し点を奪ったアグバドゥは、今季ここまで安定したパフォーマンスで攻守にチームを支えている。

 

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オーステンデ 3-1 ベールスホット

2節からの3連勝の後、一転して3連敗と今季は波のあるオーステンデ。シーズン開幕後にDFの主力テアテとヘンドリーが移籍したこともあってチームの再構築を迫られているが、今節は開始わずか7分で2点のリードを奪って快勝。前節STVVに敗れペーテル・マース監督が退任したベールスホットだが、勝利は遠くこれで6連敗。鈴木武蔵は3節のUSG戦以来のスタメン復帰を果たし、今季初めてのフル出場。

 

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ユニオン・サン・ジロワーズ 2-1 ズルテ・ワレヘム

前節ドローで首位の座をクルブに明け渡したUSG。ただしアウェイでの強豪ヘンク戦、退場者を出しての戦いということでネガティブな雰囲気はなし。後半にエース、ウンダフのゴールで先制すると、その後追いつかれるものの85分にソリノラがUSG加入後初ゴールを奪って競り勝った。三笘薫は73分から出場し、ホームでのデビューを果たした。ズルテは印象とは裏腹に勝ち点がついてこない。開始9分で中盤の肝であるアブドゥライェ・シサコが退場して試合を厳しくしてしまった。なお、前節はスタンダールに所属する弟のムサも退場処分を受けている。

 

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メヘレン 2-0 ルーヴェン

ホームのメヘレンが前節7失点大敗のショックを払拭する快勝。かつてルーヴェンに所属していたメヘレンのニコラ・シュトルムは先制点を奪い、これで4戦連発。

 

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アントワープ 2-1 スラン

カウンターからジョージア代表ミカウタゼに決められスランに先制を許したアントワープだが、得点ランクトップを走るミヒャエル・フライが1ゴール1アシストの活躍で逆転し今季初めての連勝。DAZNでの試合配信がなかなかされない間に、三好康児はしっかりポジションを確保し、70分までプレー。水曜のヘンク戦が楽しみだ。

 

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コルトレイク 1-0 ヘント

開始10分で得たPKを、今季好調のスレマニがパネンカで落ち着いて沈め先制したコルトレイクが、GKイリッチを中心にヘントの猛攻を凌ぎそのまま勝利。ヘントは2連敗。代表ウィークを挟んでしまった影響か、6節のクルブの大勝を復調に繋げられておらず、消化試合数が1試合少ないとはいえ16位に沈んでしまっている。

 

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