ベルギー ジュピラー・プロ・リーグ 7節

ベルギー1部、ジュピラー・プロ・リーグの7節の結果を、DAZNで配信された4試合を中心に振り返り。各試合のハイライト映像のリンク付きなので、そちらもぜひ。

 

 

クルブ・ブルッヘ 3-0 オーステンデ DAZN

ここまで不安定ながらも5節までは無敗で勝ち点を積み上げてきたクルブだが、前節は守備が崩壊しヘントに6失点と大敗。代表ウィーク明けの今節は2節まで用いていた4バックに再度シフトチェンジし、立て直しを図る。右サイドには昨季までルーヴェンで活躍し、保有元のレスターから€9mで8月末に買い取ったソワーが移籍後初出場。CBは出場停止明けのンソキと、オーステンデから獲得し、デビュー戦がいきなり古巣対戦となったヘンドリーが入った。3人とも出場はなかったが、2日前のミンスクでのW杯予選に帯同したデ・ケテラーレとヴァナーケンは先発し、メヘレはベンチスタート。

この試合に関しては4バックへの変更は成功。前節まで散見されたインサイドハーフが相手CBまでプレッシングに行ってあっさり外され前進を許すシーンや、3バックでは概ね右WBを務めるクリントン・マタの背後を突かれCBがサイドに釣り出せるようなシーンは消滅。攻撃では、これまで右サイドはマタが攻め上がるか、ヴァナーケンやフォルマーが流れて起点を作ったが、ここはソワーが新たに右ウイングに入ったことで幅が出せるようになった。先制点のシーンは、右サイドで開いてボールを受けたソワーが左サイドに展開し、相手DFラインの背後をとったノア・ラングが決めたもので、システムチェンジに伴う新しい攻撃のパターンが早くも形になった。後半にはソワーとマタのコンビネーションで右サイドを攻略し、W杯予選で活躍したヴァナーケンの2試合連続ゴール。さらにラングのこの日2点目がまたも右サイドの崩しから生まれて3-0。難敵オーステンデ相手にヘント戦のショックを払拭するには十分な試合となった。

一方オーステンデ。ここまでは派手な試合を多く演じて上位に顔をのぞかせていたが、この試合はいいところなし。ボールを握られて押し込まれる時間が長く、奪っても簡単にパスを引っ掛け失うシーンが目立ち陣地回復もままならず。ゲイェとクヴァシナの2トップはターゲットとして強力だが、チームとしてクルブに脅威を与えるには至らなかった。前半終了間際には新加入でデビュー戦のフォルテスが3分間で2度警告を受け退場。10人になり、クルブに危なげなく試合を運ばれいいところなく完敗。9月に入り契約を延長したばかりのブレッシン監督だが、開幕後にテアテとヘンドリーが去ったバックラインの再構築には頭を悩まされるかもしれない。

 

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アンデルレヒト 7-2 メヘレン DAZN

復権を期すアンデルレヒトだが、今季もスタートダッシュに失敗。カンファレンスリーグでもプレーオフフィテッセに屈して出場を逃してしまった。一刻も早く巻き返していきたいところだが、この試合も前半は苦戦を強いられる。後方から組み立てようとすればメヘレンのハイプレスに対して思うように前進できず、どうにか陣地を回復しセカンドボールの回収から保持を落ち着かせても、今度はソリッドなブロックを崩せず。逆にボールを失えば、高い位置まで攻撃参加するSBが不在のサイドのスペースを活用され、メヘレンの攻撃を存分に食らってしまう。メヘレンディフェンダーのポジショニングミスを突き、ラーマンのゴールで先制に成功するも、やはりサイドの裏を使われ追いつかれてしまい、ポゼッション、シュート数ともにメヘレンを下回って1-1で前半を折り返す。

ところがエンド変わって後半、最初の45分間からは到底想像できない光景が繰り広げられる。49分のクアメのゴールを皮切りに、ショートカウンターで次々加点。メヘレンにボールを渡してしまって中盤で奪うと前線のアタッカーたちのスピードを活かし、面白いように点が入った。前半のベター・サイドだったメヘレンが後半初めてシュートを放った時点ですでにスコアは6点差。アディショナルタイムにカヤが直接FKを決めて1点を返すのが精一杯だった。

アンデルレヒトとしては、特に前半の戦いぶりからは依然不安定さを覗かせたものの、次節スタンダールとのクラシコに向けて弾みのつく勝利と言えるだろう。対してメヘレンは今季4敗目で17位にまで転落。途中までは悪くない試合運びだったが、そのポジティブな感触も完全に吹き飛んでしまうようなショッキングな結果となってしまった。

 

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アンデルレヒトの4点目、ムリージョのゴールはよく見ていただきたい。

 

 

ヘンク 1-1 ユニオン・サン・ジロワーズ DAZN

気づけば3連勝と調子づいてきたヘンク。代表や怪我の影響で合流が遅れた選手もいたが、ここにきて役者が揃ってきたという印象がある。対するUSGは前節首位に再浮上し、リーグ内で今季最も勢いのあるチーム。USGが勝ち点12、ヘンクが1試合未消化で勝ち点10ということを考えれば、事実上の首位決戦とも言ってもいいかもしれないビッグマッチであるが、大味な内容に。ヘンクがボールを持ち、USGは持ち味である速い攻撃で反撃の機会を窺うというような展開がほとんどであった。試合を通じて双方それなりの数のゴールチャンスを作ったが、例えばヘンクの前節アンデルレヒト戦のような緊迫感ではなく、単に決めきれない印象が強かった。そんな試合でインパクトを残したのが、USG加入後初のメンバー入りを果たした三笘薫。1点ビハインド、かつ10人の80分に投入されてベルギーデビューを果たすと、左サイドでドリブルを活かしチャンスメイク。アディショナルタイムには、CKでそのままキープしようとするヘンクのトレゾールからボールを奪い前方へ。ここから得たCKをウンダフが決め、土壇場で同点に。三笘のボール奪取から生まれた同点劇と言っていいだろう。

アウェイでヘンク相手に退場者を出しながらのドローとあって、首位からは陥落したもののUSGは大盛り上がり。ヘンクは勝ってELにはずみをつけたいところだったが、最後の最後で勝ち点2を失う結果に。今季はCKからの失点が多いので、ここは改善が必要だろう。

 

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ベールスホット 0-1 シント・トロイデン DAZN

ここまで7試合チームを牽引してきたムボヨがヘントに移籍し、一方で移籍が既定路線だった鈴木優磨が急転直下チームに残るなど、予想外の形で9月を迎えたシント・トロイデン。林大地、原大智が加入し、在籍する日本人選手はクラブ史上最多の7人となったが、この試合ではその7人全員がメンバー入りを果たした。シーズン序盤は不安定さが目立っていたシント・トロイデンであるが、3バックの中央にテイシェイラが入り、さらにコナテが前節から復帰して中盤の底に入ったことで、保持時の停滞感や、全体的なポジショニングのアンバランスさが改善されてきている。加えて今節は新加入のライストナーがデビュー。初戦ながらキャプテンを任され、3バックの一角に加わりDFラインはさらに強化された。前線は前節デビュー戦で決勝ゴールを奪った林大地と、今季初出場の鈴木優磨が2トップ。この2人がプレッシャーをかけてボールを奪い、林大地がドリブルで運んで、デ・リダーの決勝ゴールをアシストした。原大智は前節セルクル戦に引き続き1点リードの終盤に投入されたが、いいアピールは出来ず。スタートから起用される機会があれば変わってくるかもしれないが、現状では首脳陣の信頼を勝ち得るまで少し時間がかかりそうである。シュミット・ダニエルはさすがの安定感で今季3度目のクリーンシート達成に貢献した。

一方のベールスホットは7節終えて1分6敗で唯一の未勝利チームとなってしまい、17位とは勝ち点6差で最下位。前節はDFラインに2人の退場者を出したが、この試合では前半で右WBのドムと新加入のCBレモスが負傷交代と負の連鎖が止まらない。週明けにはペーテル・マース監督の解任が決定。このところ出場機会を失っていた鈴木武蔵は、新しい監督の下チーム復調に貢献することを期待したい。

 

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オイペン 0-1 アントワープ

スカッドが揃って軌道に乗り始めたアントワープ。前線は陣容が大きく入れ替わったが、三好康児もEL予選でアピールに成功してポジションを確保している。このところDAZNでの配信がなく少し残念である。

 

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ズルテ・ワレヘム 2-4 セルクル・ブルッヘ

セルクルが後半2点差をひっくり返して開幕節以来の勝利。フォッセンを出場停止で欠いたズルテ・ワレヘムはホームで手痛い逆転負け。

 

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ヘント 2-3 シャルルロワ

前半にゴリザデが退場し、2点差を追いつかれながらもアディショナルタイムに突き放し勝利したシャルルロワは、リーグで唯一無敗をキープし3位浮上。決勝点は前節からキャプテンマークを巻く森岡亮太が演出した。DAZNで中継していてほしかった。

 

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スラン 0-1 スタンダール

25年ぶりに実現したリエージュ・ダービーはスタンダールの勝利。前節大敗のショックを払拭して次節アンデルレヒトとのクラシコに向かうが、CBムサ・シサコが退場し出場停止となるのは不安材料か。

 

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ルーヴェン 2-1 コルトレイク

好調のコルトレイクに競り勝ち、ルーヴェンが待望の今季初勝利。なおルーヴェンだけ今季はDAZNでの配信がまだない。

 

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